100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 家族 」 一覧

第103夜 一つ屋根の下、可笑しく切なく青春は往く…『めぞん一刻』

「生きていれば――/いろんな欠点も見えてくるだろう。/でも 死人は無敵だ。/彼女の中で理想像が増殖していく。」


めぞん一刻 (1) (小学館文庫)

めぞん一刻高橋留美子 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(1980年10月~ 1987年4月)

 東京郊外の時計坂に建つ一刻館は、風呂なし、トイレ・洗面共同の木造アパート。浪人生の五代裕作(ごだい・ゆうさく)は、隣室の慇懃無礼に覗きを嗜む四谷(よつや)と、スナック勤務で下着姿でうろつく六本木朱美(ろっぽんぎ・あけみ)、それに主婦なのに酒ばかり飲んで息子を困らせている一の瀬花枝(いちのせ・はなえ)といった悪ノリ好きな隣人たちにおちょくられ、その度に出て行くの出て行かないので押し問答という幸薄い毎日を過ごしていた。
 ある日、管理人だった老人に変わって、新管理人、音無響子(おとなし・きょうこ)が赴任する。若く美しい響子に一目惚れした五代だが、響子は結婚半年で亡くなってしまった亡夫、惣一郎(そういちろう)のことが忘れられずにいた。
 受験、大学生活、就職と、いつでも瀬戸際に追い詰められる五代。そこに加えて曲者ぞろいの隣人たち、恋敵のイケメン三鷹瞬(みたか・しゅん)、五代に思いを寄せる女性たちが話を一層ややこしくする。ただでさえ天然気味な上に思い込みが激しく、亡き夫を慕い続ける響子に、五代の思いが届く日はくるのだろうか――?
(さらに…)

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第74夜 彼女は庶民的な日常とSF世界を行き来する…『成恵の世界』

「飯塚クン/私なんか誘ってもつまんないわよ」「そ/そんなコトないよっ」「ビンボくさくてネクラでも?」「うん」「愛読書が女性セ○ンでも?」「う うん」「父が宇宙人でも」「うん」 『成恵の世界』丸川トモヒロ 作、角川書店『月刊少年エース』掲載(1999年4月~2012年……

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第73夜 みせろ昭和魂! 全力のケンカ大活劇…『あまいぞ!男吾』

「質問!/巴男吾にとって奥田姫子とはなんですか?」「ライバルってとこかな…。」「アリガト、男吾くん!」 『あまいぞ! 男吾』Moo.念平 作、小学館『月刊コロコロコミック』掲載(1986年4月~1992年7月)  巴男吾(ともえ・だんご)は元気とケンカの強さが自慢……

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第67夜 偽りの表情が紡ぐ恋情と友情は、真実か…『彼氏彼女の事情』

「もし傷つくのなら/最初の相手は/有馬がいいわ/……/その日/“彼氏”“彼女”になりました。」 『彼氏彼女の事情』津田雅美 作、白泉社『LaLa』掲載(1996年6月~2005年3月)  神奈川県内トップの進学校、県立北栄高校に入学した宮沢雪野(みやざわ・ゆきの)……

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第62夜 彼方に挑む者達と、一切をただ抱擁する者達…『プラネテス』

「そのオッサンはな/地球(おか)の上で満足できる人じゃねェんだよ/オレにはわかる」「独りで生きて/死んで/なんで満足できるんですか/バカみたいよ/宇宙は独りじゃ広すぎるのに」 『プラネテス』幸村誠 作、講談社『モーニング』掲載(1999年1月~2004年1月)  ……

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第58夜 剣をクラブに持ち替え闘う騎士達…『ライジングインパクト』

「お前は なんでゴルフやってんだよ?」「おもしーがら」「じゃあ/世界一の飛ばし屋に なりたいっていうのは?」「そりゃおめえ/誰よりも球かっとばしたら気持ちいーべ?」 『ライジングインパクト』鈴木央 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1998年12月~2002年2月……

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第56夜 ほの暗い情念のドラマを超えて暁は到来する…『朝霧の巫女』

「柚子/朝霧の「約束」は覚えてるか?/俺はそれを果たすよ/それだけは確かだ/どんなことがあっても/それだけは必ず」 『朝霧の巫女』宇河弘樹 作、少年画報社『ヤングキングアワーズ』掲載(2000年1月~2007年8月)  広島県内陸部に位置する地方都市、三次(みよし……

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第53夜 やせ我慢上手な“恐るべき子供たち”…『こどものおもちゃ』

「…さあ…2人きりよ…私らも子供じゃないんだし…ケツ割って話そうじゃない? ん?」「…「腹」だろ/ケツはもうわれてんだよ」 『こどものおもちゃ』小花美穂 作、集英社『りぼん』掲載(1994年7月~1998年10月)  小学6年生の倉田紗南(くらた・さな)は青木賞作……

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