【一会】『七つの大罪 14』……凶兆衰えず。いっぽう人間模様も色々と
2018/07/20
今巻も、予定通り2か月あけての新刊となりました『七つの大罪』14巻です。今回の限定版はラッピングなどに使える大罪キャラのマスキングテープ。自分くらいの歳だと使い道がちょっと難しいかもしれませんが、コレクターズアイテムと認識しておけばいいでしょうか。
内容的には、前巻でふらりと旅立ってしまったバンとキングの妖精王の森での一幕と、新たな戦いへの予兆といった感じ。新たな人物も多く登場し、新章も本題に入ったという印象です。
注目点としてまず挙げたいのは、「闘級」なる概念の導入でしょう。『ドラゴンボール』の「戦闘力」(あるいは『キン肉マン』の「超人強度」?)を皮切りに、バトル漫画において強さを数値化する考え方はもはやポピュラーですが、この「闘級」も今のところそれに準ずるものと云えそうです。
「魔力」・「武力」・「気力」という3要素の合計が闘級なので、この要素の割合によって、得手不得手が別れるのだと思われます。今巻で明らかになった数値だけで云えば、今のところ最強なのは魔力3540、武力70、気力1100で闘級4710を誇るマーリン。メリオダスをも上回るその数値は、やはり本家アーサー王伝説で特別な役割を果たした魔法使いであることによるのでしょうか。
とはいえ、ゴウセルによれば闘級は「あくまで目安であって/様々な状況・相性・条件により数値は変化する」とのこと。感情の高ぶりで数値が上ったりすることも大いにあり得そうです。
今のところ闘級を認識できるのは、ゴウセルとマーリン、そしてマーリンに耳飾りとして「バロールの魔眼」を付けてもらった残飯長ことホークの2人と1頭。どのように今後の戦いに組み込まれていくか、気になるところです。
次に気になるのは、やはり今後の戦いの予感。バルトラ王の魔力「千里眼」によれば「聖戦の予兆」は増しているとのことで、実際、前巻で消し飛んだように描写されたヘンドリクセンもあれで終わりではないようですし、死んだとされる元聖騎士長ドレファスには不穏な印象が漂い始めます。
そして何より、キャメロットに迫る新たな勢力の登場が、緊迫を加速させていきます。封印から目覚めた魔神族である彼らは〈十戒〉。旧約聖書に書かれた十の戒律を意味するこの言葉を魔神族に、逆に「七つの大罪」をメリオダス達に冠する作者のセンスが素晴らしいです。ともあれ、戦いの時は近いでしょう。
さらに、一緒に妖精王の森に行ったバンとキングや、本音を話すエリザベスとディアンヌなど、リオネスや〈七つの大罪〉の面々が織り成す人間模様も見逃せません。救われない記憶に少しだけ救いが訪れたり、いつの間にか秘めた想いが通じちゃってたり、あるいは自分が分からないあまりにちょっと暴走してしまったりと、それぞれが抱えた気持ちは、戦いの予感とはまた別の次元で物語を彩っていきます。
色々な意味で気になる次巻15巻も、また2か月後の6月17日の刊行予定。今度の限定版の特典は「バンデッド・バン」のエピソードをオリジナルアニメ化したDVDとのことで、これは予約必須かもしれません。「バンデッド・バン」の原作が収録された4巻あたりを再読しつつ、もちろん本編の展開も楽しみに、次巻を待つことに致しましょう。