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第160夜 少女の帰還を導くのは、凄惨な楽園の幻視…『クーの世界』
「今日もまた/クーの世界で目覚めるんだろうなあ/どうせ夢がつづくなら/ずっとクーの村で暮らしたいなあ/家捜しの旅なんて無駄だよって/夢の中の私に言ってあげられたら……」

『クーの世界』小田ひで次 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(1999年11月~2000年11月)
まもなく中学生になる少女、林麗寧(はやし・れねい)は2歳の時に父を亡くし、最愛の兄も亡くしてまだ半年あまり。鬱屈とした気持ちを抱えて過ごしていた。そのためか、浮世離れした幼馴染の雨森亮太(あまもり・りょうた)に対しても、ついぶっきらぼうな態度になってしまう。
そして、いよいよ入学式を明日にひかえた夜、麗寧は、異様な夢をみる。そこは、見たこともない不思議な生き物ばかりの牧歌的な世界。そして、死んだ兄に瓜二つのクーと、亮太にそっくりのキョムが暮らす世界だった。
しかも、その翌夜も、その夢の“続き”をみたことに驚く麗寧。この「つづき夢」の中で、自分の家を捜すべく、麗寧はクーとキョムとで旅に出ることになる。
不思議な道連れを加えながら旅は続き、麗寧はこれが夢なのか否か判然としなくなっていく。クーの世界とは何なのか。兄と幼馴染にそっくりな2人の意味は? 謎を孕みながら、中学へ通う世界とクーの世界は絡まりあい、生と死、過去と現在、自らの光と影が麗寧に去来する−−。
