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第134夜 願いよ、せめて彼女の前で真実となれ…『純潔のマリア』
「何で邪魔すんのよ!/あたし悪いコトしてないじゃん/お前達は卑怯だ!/地上では皆あちこちで救いを求めているぞ/なのに祈っても祈ってもお前達は全然人を救わない/だからあたしがやっただけだろ」

『純潔のマリア』石川雅之 作、講談社『good!アフタヌーン』掲載(2008年11月~2013年7月)
イギリスとフランスによる百年戦争は収まる気配を見せず、平和を知らぬ子ども達が育つ中世のヨーロッパ。そんな中、なぜか戦場の指揮官が骨抜きになり、撤退していく珍事が散発していた。侵攻を受けていたフランス側の市長は云う。「魔女マリアの仕業だ」と。
とある村にほど近い霧深き森に住み、教会の子羊たる村人も、薬を貰いに密かにそのもとを訪れる魔女マリア。彼女が使い魔のフクロウをサキュバスとして戦場に遣わした、その結果としての戦の回避だった。
強力な魔力を持ちながら平和を願うマリアは、地上の教会には魔女として忌み嫌われ、天の教会を守護する天使からは神の秩序を乱す者として警告され、同類である魔女たちからは稼ぎ処である戦場を荒らすなと口を尖らされる。−-時には、当の人間たちにすら裏切られることも。しかし、それでも彼女は自分のやり方を改めようとしない。
そんな彼女に対し、天の教会はついに最後通告を突き付ける。サキュバスを使役しながらも自らはいまだ純潔の身である彼女は、世界の幸福と己の幸福を引き比べることとなる。−−が、果てのない戦いは彼女の思いとは無関係に激化していくのだった。
