漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 サンデー系 」 一覧

【一会】『月光条例 26巻』……それぞれができるコト

月光条例 26 (少年サンデーコミックス)

 「随意散漫」カテゴリでは継続中の漫画についても言及する、というわけで、先日発売の『月光条例』26巻について書いてみようと思います。(←後日追記:単行本1巻ごとの記事については、ひとまず「随意~」のサブカテゴリとして「一画一会(いちがいちえ)」を設定しました。)
 一応ネタバレになるので、以下ストーリーの説明は隠しておきます。

  前巻では『うしおととら』や『からくりサーカス』といった物語すら消し去ってしまった月よりの使者たち。単身で月光は「月の客」の精鋭ナナツルギたちと戦うが、苦戦気味。そこへ北極からやってきたハチカヅキが合流、鉄棒となることでナナツルギの1人ガンドウを下す。しかし、ハチカヅキが来たことにより、おとぎ話の登場人物たちが北極にいることが知られてしまい、「月の客」の大艦隊が北極へと向かう。
 深海に匿われているエンゲキブ=カグヤと、そのお目付の天童とトショイインの3人も、北へと向かう月の者たちを見て、助けにいくことを画策、天童が持ってきていた『うらしまたろう』の本から浦島太郎の世界へ入り、そこで乙姫の軍船、竜宮丸(りゅうぐうまる)を入手、これで月の者たちを追撃すべく現実世界へと帰還する。「月の客」たちと交戦しつつ、現実界の海を目指す3人だが、敵の数に押され窮地に陥ってしまう。そのピンチを助けたのは、かつて月光やエンゲキブたちに救われた月打キャラクター、シンデレラと赤ずきんだった。2人は月光の真意を悟り、打ち出の小槌で人間となることで北極に封印されずに済んでいたのだ。
 一方、北極では打ち出の小槌の力で雪に変えられ身動きのとれないおとぎ話の登場人物たちが絶望しかけるが、一寸法師の檄により立ち直り、願いを叶える品を持つ登場人物とその周囲の者たちによって、ある願いを叶えるべく行動を開始する。北極に降り注ぐ「月の客」たちの攻撃。間一髪で願いを叶えることに成功した登場人物たちだったが、長老であるはだかの王様が指示した願いごととは、この北極を夜にして欲しい、というものだった。
 果たして願いは叶えられ、宵闇に包まれる北極。そこに表れたのは、「月の客」たちがやってくるために通路が開かれた状態の月だった。そこからの青い光は、登場人物たちすべてを月打するに十分だった。月打された登場人物たちは常識外の存在となるため、打ち出の小槌の力を破って元の姿へと戻り、「月の客」との交戦を開始する。月打された事により、登場人物たちの攻撃は「月の客」に通用し、戦況は好転するに思われたが、「月の客」は更なる援軍を要請し、主砲カグライの一斉射撃準備に入った−−。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

第127夜 奇想に重ねた、直球ど真ん中な成長ロマン…『美鳥の日々

「い…いや、違う!/何でオレの右手が女になってんだ!?/てゆーか、お前、何でオレのこと知ってんだよ!!!」「あ、あの…/それは…つまり、その…/私、ずっとずっと/か…片思いしてたんです。/セイジ君の事ッ!!」 『美鳥の日々』井上和郎 作、小学館『週刊少年サンデー』掲……

thumbnail

第115夜 江戸前の七兄弟、親を偲んで旅路かな…『虹色とうがらし

「つまりなにか?/おれたちは一人の男があっちこっちの女に手をだして産ませた子どもってわけか?」「人ぎきが悪いな、それぞれみんな本気で愛しあった結果じゃ。/それが証拠に同じ年のやつは一人もおらん。」「ふざけるない!」 『虹色とうがらし』あだち充 作、小学館『週刊少年……

thumbnail

第103夜 一つ屋根の下、可笑しく切なく青春は往く…『めぞん一刻

「生きていれば――/いろんな欠点も見えてくるだろう。/でも 死人は無敵だ。/彼女の中で理想像が増殖していく。」 『めぞん一刻』高橋留美子 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(1980年10月~ 1987年4月)  東京郊外の時計坂に建つ一刻館は、風呂なし、……

thumbnail

第97夜 不埒な欲望全開で悪霊退治…『GS美神 極楽大作戦!!

「美神さんっ!!/ぼかあっ…ぼかあもうっ!!」「いーかげんにしなさいっ!!」 『GS美神 極楽大作戦!!』椎名高志 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(1991年4月~1999年9月)  悪霊を除霊し、霊的被害を未然に食い止める国家資格ゴーストスィーパー。そんな彼……

thumbnail

第95夜 野望を貫き、護ることこそが悪の流儀…『はじめてのあく

「悪の組織が世界を獲ろうとする理由――わかるか来栖?」 『はじめてのあく』藤木俊 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(2009年1月~2012年5月)  神奈川県の藤沢で暮らす高校生、渡キョーコ(わたり・――)は、ある朝とつぜん体の自由を奪われる。従兄弟の阿久野ジ……

thumbnail

第64夜 人と妖(バケモノ)とが綾なす陰陽の絵巻…『うしおととら

「行っくぞーっ、とらーっ!」「うるっせーんだよ、うしおーっ!!」 『うしおととら』藤田和日郎 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(1990年1月~1996年10月)  寺に住む少年、蒼月潮(あおつき・うしお)は、住職の父に虫干しを命じられた蔵の地下で、古びた槍に張……

thumbnail

第45夜 新鋭機と“お役所的仕事”の流儀…『機動警察パトレイバー

「よくみとくといいや。/志望がかなえばこいつに命預けることになる。」「じゃ……じゃあこれが……/新型の警察用レイバー!?/こ…これは…/趣味の世界だねえ……」「とかいいながらわりと気に入ってるだろ。」 『機動警察パトレイバー』ゆうきまさみ 作、小学館『週刊少年サンデ……

thumbnail

第27夜 宵闇に燦然と燃えさかる“人間の姿”…『からくりサーカス

「何かあったら心で考えろ…/今はどうするべきか…ってな。/そうして…笑うべきだとわかった時は…/泣くべきじゃないぜ。」 『からくりサーカス』藤田和日郎 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(1997年7月~2006年5月)  両親の都合で中国で暮らしていた青年、加藤……

thumbnail

第18夜 泥濘に蒔かれた種が見出す“よすが”のかたち…『漂流教室

「お母さん……ぼくの一生のうちで、二度と忘れることのできないあの一瞬を思う時、どうしても、それまでのちょっとしたできごとの数々が強い意味をもって浮かびあがってくるのです。」 『漂流教室』楳図かずお 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(1972年5月~1974年6月)……

広告

広告