漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 歴史 」 一覧

【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 2』……温泉地の勝負の行方はロシア式

猫瞽女 ―ネコゴゼ―  2巻 (コミック(ヤングキングコミックス))

 巫女に次いで猫耳という、ある意味で近年のヲタク界隈の要求を飲み込んだ上で、見事に渋み溢れる作品世界を描き出す宇河弘樹先生の『猫瞽女ネコゴゼ―』第2巻が先日刊行されました。
 描かれるのはパラレルな195X年。戦争に勝利したソ連によって支配され「日本自治ソビエト社会主義共和国」と呼称されるようになった日本の片隅で、人間たちと同じように、ある者は一途に、ある者は卑しく、ある者は苛烈に生きる、猫たちの渡世の物語です。
 中心となるのは、唄と三味線を表稼業にしながらも、仕込んだ刃を抜けば無二の遣い手である“はぐれ瞽女”夜梅(ようめ)と、ロシア正教に由来していそうな“機密”能力を行使する行者の鶯(うぐいす)の2匹の雌猫。当座の2匹の目的は、鶯の養い親を殺し、兄を収容所送りとした当局の秘密警察“必罰執行人”の何者かを追うことですが、仁義に篤い2匹のこと、権力を得た悪の前に涙を流す猫たちの力となって力を振るう展開となりそうです。

(さらに…)

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【一会】『アルテ 4』……想いを残し、新天地へ

 16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族出身ながら画家を志望する元気少女アルテの修行の様子と、師匠であるレオへの淡い恋心、当時の人々の生活描写がそれぞれに興味深い『アルテ』。先ごろ4巻が発刊されましたので、書き留めておきましょう。  前巻では重労働のフレスコ画の助……

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【一会】『黒博物館 ゴーストアンドレディ 上下』……意思を貫く戦いと、絶望を望んで希望を成すということ

 「100夜100漫」カテゴリにしようか迷いましたが、シリーズとしては続きがありそうなので「一会」にて書くことにします。藤田和日郎先生の新刊(といっても刊行からだいぶ経ってしまいましたが)『黒博物館 ゴーストアンドレディ』です。 あらすじ  大英帝国で捜査されたす……

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【一会】『アルテ 3』……難仕事の顛末は、よく寝、よく食べ、よく鼻血

 ここでは初めて言及する『アルテ』。第3巻が先日発刊されたので語りたいと思います。  盛期から後期ルネサンスへと移りつつある16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族の少女でありながら“自分自身の力で生きる道”を目指し、偏屈な画家のおしかけ弟子となったアルテ。そんな彼……

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【一会】『乙嫁語り 7』……湯気の中に見つけた無二の人

 6巻から1年と1か月という時間をおいて発刊された『乙嫁語り』7巻。今巻では前巻の「あとがきちゃんちゃらマンガ」での予告通り、フィールドワーカーのスミスさんとその案内人アリが登場します。  とは云っても、冒頭で出てくるのは、まだあどけなさが残る、さっぱり美人アニス。……

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【一会】『白暮のクロニクル 4』……反逆者の来歴、カインと吸血鬼、彼の嫌悪の意味

 3巻から少し間があいて、5か月ぶりの4巻となった『白暮のクロニクル』。その辺の事情は巻末のおまけ漫画に詳しく描かれていますが(いやまあ、ゆうき氏まさかのBL漫画漫画(誤記にあらず)『でぃす×こみ』との同時進行のせいなんですが)、まあそれはそれとして。  今まで深く……

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【一会】『純潔のマリア exhibition』……魔女マリアをめぐる、彼女や彼のイイハナシ

 イギリスとフランスによる百年戦争を背景に、平和を願う魔女にして純潔の乙女マリアが、小生意気な使い魔たち、戦に迎合する魔女たち、兵士ジョセフ、天の御使い達と奮闘したり対立したりしつつ2013年夏に本編完結を迎えた『純潔のマリア』(100夜100漫第134夜)。その後に発表……

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第194夜 可憐な悪夢と、凄惨な現実を、その日記に…『アノネ、』

「誕生日にもらった鍵つきの日記帳は/秘密の扉みたい/床におくと鏡にもなるの/のぞきこむと/未来がみえる」「花子/花子/どうしてこんなことに」「太郎さん/太郎さん/あのね――」 『アノネ、』今日マチ子 作、秋田書店『エレガンスイブ掲載(2011年2月~2013年4月)……

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第190夜 海を渡った会津者たちの夢の果て…『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜』

「黄金を夢見た者も/故国で行き場をなくした者も/覚悟して海を渡りここに行きついた/ここで生きていくほかないのだ/異国で生きるとはそういう事だ」 『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜』夏目義徳 作、集英社『グランドジャンプ』→「GRAND JUMP WEB」掲……

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【一会】『シャーリー 2』……きっと沢山ある日々のうちの8片

 2003年に、まだ「1巻」という明記すらなく、初期作品集の趣きに近い1冊として刊行された『シャーリー』を、実は『エマ』(100夜100漫第60夜)よりも先に読んだ自分ですが、11年の時を経て2巻の刊行が成るとは想像していませんでした。もっとも『Fellows!』(のちに……

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