【一会】『魔法陣グルグル2 3』……最古にして最も有名な友達
2018/07/20
2巻から8か月を経ての3巻刊行となった、メルヘンチックとオヤジチックの共存が相変わらずカオスな魅力の『魔方陣グルグル2』。前作『魔法陣グルグル』の新装版も出揃ったので、『2』から入った読者も安心といったところでしょうか。
サビーナ王国での惨劇(笑)から人々を救うため、そして魔王よりも先にこの地域の魔神を味方につけるため、サビーナ山のダンジョンに向かったニケ、ククリ、魔法使いココルデの弟子の女の子ビッカ、それと謎のおじさん(キタキタ)。ここのダンジョンは「ともだちのダンジョン」ということで、今巻はこのダンジョン攻略の一部始終を味わえる形になっています。
ダンジョンの名前通り、今巻を貫くテーマは「ともだち」。キタの街のザザとミグがククリの「おともだち召喚」の魔法陣で呼び出されたり、プラトー教のルナー(予言者)であるジュジュにお付きのゴチンコも姿を見せてくれます。
他にも不思議なゲストキャラや、もちろん敵も出てきますが、やはりバトルの激しさよりもダンジョンの謎解きや作品世界の不思議さの描写が重視されている模様。そういうところが、『グルグル』の真骨頂でしょう。
単に多くの人物が出てくるということだけで「ともだち」がテーマ、というわけではありません。一緒にダンジョンに来てくれているビッカが担うエピソードは、ある意味では今巻のメインと云えるかも。彼女と幼なじみの弟子Bの関係は、ちょっとした描写トリックもあってほろりとします。素直になって「ビッカが なかまに くわわった!」をやってくれるシーンも素敵です。
そして、今巻後半に現れる、最も古く「世界一有名な親友」がまた心憎いです。ある意味、この時期(秋)に読めてよかったという気持ちになりました。子ども心が抱くだろう素朴な思い(作中の言葉を使えば「メルヘン気質」)を、懐かしくもエッジの利いた仕立て方で見せてくれる、作者のセンスが光っています。
以上の要素だけでも満悦なのに、さらに魔王の言葉が戦慄を走らせます。「魔王は友達を信じない」。「魔王の力は悪い子の力」。キーワードだけ抜き出すとそんなところでしょうか。ククリと同質でありながらも、真逆の心情から発露する魔王の力に心が震えます。
といったところで、不安を残しつつも「ともだちのダンジョン」をめぐる冒険は一段落。新展開を楽しみに、次巻を待ちたいと思います。
※今回も版元さんがAmazonさんに“なか身”のデータも上げて下さっていたので、適宜使用させていただきました。