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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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【一会】『いぬやしき 10(完)』……老いたる元・霊長類の生命への賛歌

いぬやしき(10) (イブニングKC)

 ふとした切っ掛けで(といっても、いま思えばそれも何か1つの運命だったのかもしれませんが)、人知を超えたアンドロイドとなった老人と青年。それからの、相反するかのような2人の生き様を提示してきた奥浩哉氏『いぬやしき』の、最終巻となった10巻を読みました。
 今巻の刊行は昨年9月。原作完結後にはアニメ化もありましたし、映画化もされました。その流れも一段落し、遅れに遅れた感じではありますが、読んだ感想など書きたいと思います。

 誤解を怖れず云えば、実のところ今巻には、語るべきことはそれほど無いように思えます。犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)は、迫り来る巨大隕石を辛くも粉砕し、世界を救いました。煎じ詰めてしまえば、その一言に尽きてしまいそうです。
 もちろん、そこには幾つかのドラマがあります。壱郎と対を成す存在である獅子神皓(ししがみ・ひろ)も、そのドラマと無縁ではありません。しかし、そうしたプロセスの委細を語るのは、終了後1年を経た今をもっても無粋に感じられます。ですので、ここでは読みながら思ったことを2つだけ、語るに留めたいと思います。

(さらに…)

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