漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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【一会】『少女終末旅行 5』……最上層、その手前の追憶

少女終末旅行 5 (BUNCH COMICS)

 沈黙が支配する終末間近な未来世界を、履帯式牽引車両ケッテンクラートで旅する2人の少女、黒髪黒瞳・しっかり者のちーちゃん(チト)と金髪碧眼マイペースなユー(ユーリ)。2人の、呑気さと悲壮さの絶妙な混淆に哲学的な問いを散りばめた旅を描いたつくみず氏『少女終末旅行』の、最終巻である6巻が刊行されたのは今年3月です。すぐにも最終巻まで読み通したいところですが、まずは順序通り、昨夏に刊行された5巻について書こうと思います。

 前巻ラストで、地球の終わりが避けられないことを知ったチトとユーリ。2人の終末世界巡りも、大詰めになってきた感があります。行く手に待つものは何かを気にしつつも、とりあえず吞気な空気で旅は続きます。
 「黒い建物」(朽ちた原子力潜水艦)の中には食糧が豊富にあったようで、とりあえず2人の命脈は尽きずにすみそう。水が乏しいみたいですが、周囲の氷を溶かそうというユー案はやめておいたほうがいいですね。とりあえず水路も見つけたし、何とかなるでしょう。
 水路沿いでキャンプして摂る2人の夕食は、魚の缶詰を熱したもの。美味しくて思わず笑みがこぼれる2人が微笑ましいですが、逆に云えば普段はもっと味気ないものを食べているということですね。ローマ字の知識すら伝達されていない世界では、思った以上に色々なものが欠乏しているに違いありません。
 足場が不安定な箇所でチトが怪我をしたものの、ユーの無鉄砲な(!)機転で切り抜け、2人を乗せたケッテンクラートは先へと進みます。当座の目的地は、西にある都市の昇降機。これに乗れば「最上層の手前まで行ける」と、前巻で出会った謎の存在たちが教えてくれました。

(さらに…)

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