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第118夜 卑屈者に贈る、洒脱で過激な虚飾術…『メイキャッパー』
「ここ一番/オトしたい男がいるとき言って来な/キリストも欲情するイイ女にしてやる」

『メイキャッパー』板垣恵介 作、(スタジオシップ[現 小池書院])『ヤング・シュート』→『コミック・シュート』』掲載(1989年7月~1991年9月)
例えどんな容貌であろうとも、誰にでも格好をつけたい、つけなければならないひと時が存在する。美朱咬生(みあけ・こうせい)は、人々のそんなひと時のために腕を振るう超一流のメーキャップアーティストだ。その腕前に、若い女性はもちろん、男性も魅力溢れる容姿となり、老人でさえもかつての輝きを取り戻す。“女神(ヴィーナス)の息子”“悪魔の手(デビル・ハンド)”という二つ名の所以だ。
歴史上の偉人たちのカリスマを演出してきたという、家伝の美朱流化粧道の奥義を尽くした彼の化粧は、古代の知恵から脳内麻薬まで、あらゆるコスメ的要素を熟知し縦横に用いる。その上、時には依頼者の肉体改造、意識改革にまで及ぶという特別なものだ。
そんな化粧術を通し、見た目に自信がないからと諸々を諦めていた依頼者の背を、咬生はそっと押してあげる。時にそれは、見た目だけにこだわる鼻持ちならない奴らへの痛烈な批判にもなるのだ。
都心のビルの屋上にプール付きログハウスで暮らす咬生のもとへは、ひっきりなしに依頼者が来訪する。弟子の写楽レイ(しゃらく・れい)をアシスタントに、咬生は今日もどこかで秘められた美を引き出す。
