100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 能力 」 一覧

第154夜 状況の千変万化に踊らず信念を貫け…『絶園のテンペスト』

「愛花が殺されたのは不合理だ/魔法も不合理だ/なら二つをぶつければ辻褄が合う/愛花を殺したやつを/この手で殺してやれる」


絶園のテンペスト 1 (ガンガンコミックス)

絶園のテンペスト城平京 原作、左有秀 構成、彩崎廉 作画、スクウェア・エニックス『月刊少年ガンガン』掲載(2009年7月~2013年3月)

 “はじまりの樹”。そして、“絶園の樹”。人類の文明の発展を司るといわれる前者と、それに対すると云われる後者。その対決は多くの文明の神話や伝説に形を変えて遺されてきた。
 絶海の孤島。“はじまりの樹”を守護し、そのための魔法を行使する鎖部(くさりべ)一族でも随一の魔法使い、鎖部葉風(くさりべ・はかぜ)は、一族の者の陰謀により絶海の孤島に流される。鎖部の魔法の触媒となる“文明の産物”を入手し難い無人島にいながら、葉風は外界との交信手段を模索する。
 日本国関東地方。男子高校生の滝川吉野(たきがわ・よしの)は、ぼんやりと携帯メールを眺めながら友人を案じていた。その友人、不破真広(ふわ・まひろ)は、何者かによって両親とともに殺害された妹、愛花(あいか)の復讐のため、犯人を捜し出して殺そうと行方をくらませているのだ。
 鬱々としたまま愛花たちの墓に参った吉野は、そこで「フロイライン山本」と名乗る妙齢の美女に襲われかける。忽然と現れた真広に助けられる吉野だったが、時を同じくして出現した蝶により、人間が金属化してしまう奇病、黒鉄病が蔓延し、街は壊滅する。
 徐々に進む文明の崩壊は、果たして“はじまりの樹”の理(ことわり)か、あるいは“絶園の樹”によるものか。
 吉野と真広、葉風と鎖部一族、山本と政府関係者たちによる、「関節が外れた」世界をめぐる激動の日々が始まろうとしていた。

(さらに…)

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第150夜 京言葉が語るボケとツッコミ、小さな絆…『京洛れぎおん』

「奴らと戦う力を持っていても小学生だよ/本気の力をモロに受ければ壊れてしまう/体もまだ未熟なのに/使命だから行くんだ/えらい子なんだよね」「別のイミで俺がえらいんですけど!?」 『京洛れぎおん』浅野りん 作、マッグガーデン『コミックブレイドBROWNIE』→『月刊コ……

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第141夜 今は昔、天の月より下りし皇女、王道を示す…『月華美刃』

「国のため?/考えてるか/んなモン!!/私はそんな難しい事はよく分からん!!/だが/私は知ってる/母様が命をかけて守ろうとしてきた物が何なのかを知ってる/それを奪われるのは/たまらなく腹が立つのだ!!/それだけだ!!/悪いか!!」 『月華美刃』遠藤達哉 作、集英社『……

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第126夜 ≠アニメ、もう1つの“反逆”に熱くなれ…『スクライド』

「運命−−−−これほど反逆し甲斐のある相手もいねーーな/そう思うだろ? あんたも!!」 『スクライド』黒田洋介(スタジオオルフェ) シナリオ、戸田泰成 漫画、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(2001年6月~2002年4月)  21世紀初頭、神奈川県横浜を中心……

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第118夜 卑屈者に贈る、洒脱で過激な虚飾術…『メイキャッパー』

 2013/10/23  100夜100漫, ,

「ここ一番/オトしたい男がいるとき言って来な/キリストも欲情するイイ女にしてやる」 『メイキャッパー』板垣恵介 作、(スタジオシップ[現 小池書院])『ヤング・シュート』→『コミック・シュート』』掲載(1989年7月~1991年9月)  例えどんな容貌であろうとも……

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第113夜 命のため、“異端者”はメスを振るう…『アスクレピオス』

「一般的に“外科医”と呼ばれる人達の仕事は/創傷治療や肢体切断術…解剖手などです/胸腔内や腹腔内の手術は/教会の認める医術の中には存在しません…/ぼくらはそれを1000年以上も続けてきました/だから/追われているんだと思います…」 『アスクレピオス』内水融 作、集英……

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第94夜 陰惨な謎に挑むのは1人?2人?…『人形草子あやつり左近』

「人形遣いは人間遣い/腹話術は読心術/真似るのは声色だけでなく内なる声」 『人形草子あやつり左近』写楽麿 原作、小畑健 漫画、集英社『週刊少年ジャンプ増刊』→『週刊少年ジャンプ』掲載(1995年4月[読切掲載]~1996年4月)  引っ込み思案で気弱な性格の橘左近……

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第92夜 優しさ、ゆえに精神を壊す…『MIND ASSASSIN』

「この平和な時代で/ボクの力が本来の意味で使われることは もうないと思ってた……/でも それは…自分が勝手にそう望んでいただけなのかもしれない…」 『MIND ASSASSIN』かずはじめ 作、集英社『週刊少年ジャンプ』→『週刊少年ジャンプ増刊号』→『月刊少年ジャン……

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第84夜 彼岸と此岸の境を越えた喧嘩三昧の果てに…『幽☆遊☆白書』

「ちょっともの足りねーだけさ/要するにないものねだりってヤツだな/どっちに居たところで足りねーものはあっからな」 『幽☆遊☆白書』冨樫義博 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1990年51号11月~1994年7月)  中2の浦飯幽助(うらめし・ゆうすけ)は超強い……

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第81夜 ゲームと世界の特異点…『PSYCHO+(サイコプラス)』

「知らないの?/この緑色はね……/悪魔の色なんだよ!!」 『PSYCHO+(サイコプラス)』藤崎竜 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(1992年11月~1993年2月)  もって生まれた緑色の瞳と髪という特異体質のせいで、日陰者の生活を余儀なくされていたゲーム好……

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