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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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【一会】『月影ベイベ 7』……なのに、心に沁み入るのは彼の言葉で

月影ベイベ 7 (フラワーコミックスアルファ)

 富山県八尾を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)の3人による淡い三角関係を中央に置き、八尾の伝統舞踊“おわら”をめぐる人々を描いた『月影べイベ』。一時休載もあったようですが無事に再開され、ひと月ほど前に7巻の発刊となりました。
 現実世界とは少しずれて、作中の季節は8月。9月の本番「おわら 風の盆」が迫ってきます。

 そんな今巻の内容は直球勝負。前巻ラストで、ついに光は蛍子に想いを告げたのですが、その後の光と蛍子、そして円という3人のエピソードで、ほぼ占められています。
 蛍子にとって光の告白は全く予想外だったようで、戸惑いが先に立ちます。何しろ彼女の気持ちは円の方を向いているのですし。ただ、里央に相談することで、恋とは違う意味で、光に対する好意を抱いていた自分を発見したようです。一方、秘めたる想いを口にした光の方ですが、表面上はさっぱりとしつつも、やはり蛍子を意識して過ごしています。
 専能寺という立派お寺で、雨音を聞きながら、蛍子は自分の気持ちを光に伝えます。「だらやな俺」と自嘲して笑う光の笑顔が、笑顔なのですが、やっぱり哀しげです。自分も経験がないではないですが、こういう時って、確かにその場では笑うしかないと思います。雨が降っていたのは、光にとって幸いだったかもしれません。

(さらに…)

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