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第204夜 惑い彷徨ってこそ、救う世も在れ…『水使いのリンドウ』
「わからないよアッシュ…/いままでも何も知らずに間違いだらけだったんだ……/自分が正しい自信は何もない…」

『水使いのリンドウ』一色登希彦 作、集英社『ジャンプSQ.19』掲載(2010年8月~2012年6月)
竜と皇族(おうぞく)の間に交わされる百年契約で成り立つ“日の東の國”(ヒノサキノクニ)。幕府直属で最強の水術士、“水使い”の通り名を持つ少年リンドウは、竜との「契約の改め」を直前にひかえた皇女であり幼馴染みでもあるエナの護衛任務を命じられる。都ミズシロの皇領区に赴いたリンドウだったが、そこでエナともども謎の勢力の襲撃を受ける。しかも騒動の末に現れた大竜は、新たな契約を行わないと語り、使い代として小竜ウィルを残して消えてしまうのだった。
契約を交わし直すため、竜の住む“竜の地”を目指してリンドウとエナは旅立つ。國の行く末を憂いながらも策謀を巡らせあう統幕勢力と幕府方、膨大な力を産出する“炉”の燃料にするため、この國の竜を欲する異国、そして自分たちの土地を捨てては生きられない民衆。旅の途上でまみえる物事が、世界を知らぬ2人に現実を突きつけていく。
幕府で将来を嘱望されながら野に下って機巧や竜を研究しているクジュウや、汽動重騎リンブルフ號を駆る舘の國(だちのくに)の少年アッシュ、そして、異国からこの國を護ると云う若き幕府将軍マナ・ミズビキ公。対立する幾つかの正義は混迷を招きながらも、國の趨勢は世界の覇権を握る亜の國(アのくに)との戦に傾いていく。
竜との百年契約とは何を意味するのか。そしてミズビキの真の目的は何か。それらが明らかになり、この國と世界の姿を知った時、リンドウは一つの決断を下すのだった――。
