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第198夜 笑いあって手を繋いで、それなのに零れる涙…『西荻夫婦』
「明日が来なくても/まあ もう充分ってカンジかな―――」「えーッ/もう充分なの?」「うまく言えないけどね」「けっこうあっさりした境地へ/行っちゃうんですね/夫婦って」「なにわかったふうな」「恋愛じゃないからね」

『西荻夫婦』やまだないと 作、祥伝社『フィール・ヤング』掲載(2000年5月~2001年2月)
漫画家のナイトーと、会社員のミーちゃん(ミノワ)。結婚して7年目の2人は、東京の西荻窪で暮らしている。
健康的な生活を心がけながらも、だいたい締切直前にはアシスタントのオクヤやコマダ、担当編集に迷惑をかける夫。同僚女性のノミヤや後輩のゆとり男子シンドーらと、しっかり仕事をしている妻。
そんな対照的な2人だが、夫婦仲は良い方だ。朝、2人して大家の飼い犬を散歩させたり、アシスタントたちも交えてお喋べりしたり、結婚記念日に漫画の仕事をすっぽかして旅行したり――。
転がる会話と共に、そんな平穏な日々を過ごしながらも、ふと漂う空気は不穏。妻を大切に思うと同時にそこからの逃走を図るナイトーと、夫の愛情を解りつつも、なぜか終わりを意識するミノワの平らかな暮らしは続いていく。奈落めいた安寧の中で、ナイトーは、ミノワは、どこへ行こうというのか。
