100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 少女 」 一覧

第184夜 ズレとは、絶望であり希望でもある…『となりの怪物くん』

「ハルのお陰で私は2倍忙しくなった/私のことだけじゃなくて/私以外のことも考えなきゃいけなくなったから」[他人(ひと)と関わる限り/傷ついたり/傷つけられたり/それでも/ひとを求めてしまうのは]「…まあ/しかたないか/きっと/そういうものなんだろう」


となりの怪物くん(1) (KC デザート)

となりの怪物くんろびこ 作、講談社『デザート』掲載(2008年8月~2013年11月)

  高校に入学したばかりの水谷雫(みずたに・しずく)は、年収一千万を目指して勉学に励む少女だ。ダメ人間気味な父と、その代わりに外に出て働く母を見て幼少の頃から育って来たからかもしれない。勉強以外には関心が薄く、生き物が苦手ということもありクラスで孤立することもしばしばだったが、それも大して気にしていなかった。
 そんな雫はある日、担任から隣席という理由だけで、不登校の要注意人物、吉田春(よしだ・はる)の元にプリントを届けるよう仰せつかる。初めて会ったハルは、友達を作りたいと思いながらも常識のなさと無駄に強い腕っぷしのために孤立している少年だった。
 ハルの独自の思考回路によって気に入られた雫は、いきなりの告白を受ける。が、ひとまずそれは置いておいて、学校に来るようになったハルの斜め上を行く明晰さによる奇行と些細なトラブルで出てくる暴力に、雫は嫌々ながらも世話をやくことに。
 冷血少女と超問題児という2人にも、徐々に周囲との繋がりは出来る。美少女だがそれが原因で孤立し、友達を渇望しつつもネット上で独自の世界観を築いている夏目あさ子(なつめ・あさこ)や、野球部で人当たりのいい性格の佐々原宗平(ささはら・そうへい)といったクラスメイトとも仲良く(?)なり、雫とハルの微妙にヘンなコミュニケーションは続いていく。
 更にはハルの兄、優山(ゆうざん)、2人に奇妙なライバル意識を持つ海明学院のエリートのヤマケンこと山口賢二(やまぐち・けんじ)とその妹の伊代(いよ)、密かにハルを慕う委員長の大島千づる(おおしま・ちづる)たちの登場で、雫とハルの関係は一進一退ながら変化していくことに。そして、なぜ冷血なのか、なぜ怪物なのか。2人がそれぞれ抱えた孤独の本当の意味に、気が付く時も近づきつつあるのだった――。

(さらに…)

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第179夜 夜明けを呼ぶのは、異能ではなく決意…『黎明のアルカナ』

「この力は奇跡なんかじゃないわ/だから私が/奇跡に変えてやるの」「私の命は/あなたのもの/ナカバ様の心のままに」「ありがとう/ロキ」 『黎明のアルカナ』藤間麗 作、小学館『Cheese!』掲載(2009年1月~2013年6月)  人と、半獣半人の種族、亜人が暮らす……

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第144夜 死は炙り出す。誰もが“誰かの為の誰か”と…『潔く柔く』

「あの人のことを/とてもよくわかっていますか?/あの人を……/…とてもよく………わかりたいです」「そりゃあ無理だ/とてもよくわかるなんて/他人の傲りだ/そんなこと言う奴は信用できない」 『潔く柔く』いくえみ綾 作、集英社『Cookie』掲載(2004年1月~2010……

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第137夜 波乱の刻を咲き誇った、幾つもの魂…『ベルサイユのばら』

「神の愛にむくいる術ももたないほど小さな存在ではあるけれど…/自己の真実のみにしたがい/一瞬たりとも悔いなくあたえられた生をいきた/人間としてそれ以上のよろこびがあるだろうか」 『ベルサイユのばら』池田理代子 作、集英社『週刊マーガレット』掲載(1972年4月~19……

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第124夜 ○コ塗れでも潰えない、上流階級の心意気…『有閑倶楽部』

「10億だ!!/いいか最低10億とらなきゃ家に帰るぞ/そんなはした金/ばかばかしくってつきあってられるか!!」 『有閑倶楽部』一条ゆかり 作、集英社『りぼんオリジナル』→『りぼん』→『マーガレット』→『コーラス』掲載(1981年4月~2007年10月)  幼年部か……

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第120夜 甘々な見た目に隠されたほろ苦さ…『シュガシュガルーン』

「覚えてる…?/ずっと前…/約束したよね/「あたしたちは/ずっと親友」 『シュガシュガルーン』安野モヨコ 作、講談社『なかよし』掲載(2003年9月号~2007年5月号)  魔界に住む2人の小さな魔女、伝説の魔女シナモンの娘で元気者のショコラ=メイユールと、現女王……

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第111夜 「今、ここ」から逃げ出したい、全ての人へ…『彼方から』

「なんでこういう事態になったのかわかりませんが/とにかくっ/ぐじぐじしてたって仕方がないと考えましてね/こうしてお世話いただいているのも何かのご縁かと存じますし/この際 腹すえてついていかせていただきたいと決意した次第なわけでして」「………/何を言っているのかわからん」 ……

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第101夜 恋と友情は、廻る星座とともに…『星の瞳のシルエット』

「気がつくと/まわりはみんな/そわそわ わくわく/あの人がすき この人がすき/毎日ドキドキきらめいて 14歳――――そうね/憧れ とか/恋 とか/片思い………とか/そんなことばが/いつのまにか もう/似合うときになったんだな」 『星の瞳のシルエット』柊あおい 作、集……

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第96夜 戦国系変態ギャグに仄見える純情…『こいつら100%伝説』

「きみのいってることは/バカバカしさの中にも/きらりと光るものがあるが/やっぱり大バカモノと呼ばせていただきたいっ」 『こいつら100%伝説』岡田あーみん 作、集英社『りぼん』掲載(1989年4月~1992年8月)  時は戦国、世は地獄。忍術の達人である先生は、そ……

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第89夜 少しの不安は、田舎の夜空に溶けてゆけ…『きんぎんすなご』

「あんなに いっぱい/あるんだからさ/あした 見つからなくても あさって/でなけりゃ そのさき/見つけたいと思っていれば かならず 見つかるよ/星は なくならないから」 『きんぎんすなご』わかつきめぐみ 作、白泉社『月刊少女フレンド』、『別冊フレンド増刊 ザ フレン……

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