【探訪】ちはやふるの世界~末次由紀 初原画展~…色彩あふれるギャラリー
2018/04/20
アニメ化・映画化の話題も尽きない青春かるた漫画『ちはやふる』の、初めての原画展「ちはやふるの世界~末次由紀 初原画展~」(公式サイト)が、3月23日から4月1日まで、東京池袋の西武ギャラリーで催されている。もうじき終わってしまうけれど、ギリギリ行けて写真撮影も大体OKだったので、撮ってきた写真とともに振り返りたい。
原画展の場所は、お馴染みになった感のある池袋の西武池袋本店・西部ギャラリー。平日の15時頃にお邪魔した。
入場料800円を払って中へ。一部(トリビュート企画や動画)を除いて写真撮影可。
展示を大まかに区分すると、『BE・LOVE』表紙のカラー原画、単行本表紙のカラー原画、第百首(第100話)のネーム、『ちはやふる』中学生編の原画、『ハルコイ』『クーベルチュール』などの他作品やコラボ企画の原画…といった感じ。
まずは『BE・LOVE』関連から。こちらは連載前の予告カット。幾つかの原画の下には、作者である末次先生の直筆と思われる注釈が付いている。先生も、連載が10年続くとは思っていなかった様子。
表紙を飾ることも多い本作ながら、それぞれ入魂の1枚であることがうかがえる。
展示の途中には、こんな感じの撮影ポイントも。原作準拠の吹き出しも完備。
美麗な画なのは勿論、作中と同じように遊び心が散りばめられていて面白い。
こちらは今頃に相応しい1枚。机くんの持っている旅行ガイドがポイント。自分もいつか、あわら温泉は行ってみたい。
『BE・LOVE』の単行本としては異色な表紙の14巻(まぁ、他にも幾つかそういう巻があるんですが^^;)の原画。自分は肉まんくんと机くんのファンだったりする。何の縁もなかった2人が、高校で初めて知り合って、そしてあんなに固く結びつけるというのは希望に他ならない、と思う。
27巻表紙は14巻とは真逆に正統派。使用時にトリミングされたのが惜しいと思えるほど、千早の瑞々しい表情が素晴らしい。
保護ガラスも無いので、確かに「限界まで」近づいて線を見ることができる。
さらに実物のネームノートも。1話で1冊使うようなので、これまでの話数で使ったノートの合計は凄いことになりそう。
ネームに加え、複雑な競技かるたの試合をどう作っていくかの説明も。知的ゲーム系の作品を作りたい人には、作劇の参考になるかもしれない。
もう1カ所の撮影ポイント。こちらは近江神宮をモチーフにしている。
その他、中学生編の表紙原画や、他作品、未発表作品の原画、所縁の品々の展示もあった。机くんノートは、普段は近江勧学館(高校生かるた大会などが行われるあの場所)に置かれているらしい。
アニメ化作品のエンドカードに書き下ろされた原画の展示も。こちらは『アルスラーン戦記』。
同じく『3月のライオン』のエンドカード。「塩を使った技法」ってどんなものか、気になる。
今回の展示のために書き下ろされた「紅葉」。キービジュアル(この記事のアイキャッチにした画)の制作風景が動画で紹介されていたのを見ても思ったけど、ここまでくると漫画というよりも伝統工芸品に近いような印象を受けた。題材が「和」成分濃いめなので、余計にそう感じるのかもしれない…。
色々なものとコラボしたイラストも展示されていたが、その中から、カレーショップC&Cとのコラボ時の、カレーパッケージイラストを紹介。男子は中辛、女子はマイルド。作中ではあまり接点のない人物たちも仲がよさそうで微笑ましい。
最期の物販コーナーの手前には、どでかいスノー丸と、先生へのメッセージや関係各位からのお祝いコメントのコーナーが。自分も少しばかりメッセージを残してきた。
行きつ戻りつしながら、じっくり見て1時間40分ほどで退出した。
原画展というと、白黒原稿もそこそこの割合を占めることが多いと思うが、今回は圧倒的にカラーが多かった。動画で着彩の仕方も見られるので、個々のカラー原画にかけられた時間が想像できて圧倒されるというものだろう。流麗な画面を作り出すのは、地道な作業の積み重ねなのだと改めて感じた。既に大人気の『ちはやふる』だが、その美しい画の秘密に迫れる展示ではないかと思う。
冒頭に記した通り、東京池袋での本展開催期間は4月1日(日)までなので、この週末がラストチャンスとなる。その後、大阪(4月4日~16日、あべのハルカス近鉄本店 ウイング館4階 第2催会場)、名古屋(5月9日~21日、名古屋栄三越 7階催物会場)でも開催が予定されている。