【探訪】ルーブルNo.9 漫画、9番目の芸術…美の殿堂に捧ぐ16作
2016/08/19
7月22日から9月25日まで、六本木の森アーツセンターギャラリーで「ルーブルNo.9 漫画、9番目の芸術」という特別展が行われている。コミケ後になってしまったが、観に行って来たので書き留めたいと思う。
同展の詳細については、以下のサイトからどうぞ。
ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~ | Manga-9Art
会場まで
会場となる森アーツセンターギャラリーは、いっとき話題になった六本木ヒルズ内にある。最寄駅は各線の六本木駅である。
六本木まで電車で行くには幾つかの経路があるが、自分は都営大江戸線を用いた。まずはそちらからのアクセスを書こう。
大江戸線六本木駅からは、3番出口が便利である。
「六本木ヒルズ」の表示に従って進めば、出口まで迷うことはないだろう。
5分ほどで、「メトロハット」と呼ばれるヒルズの目印が見えるはずだ。
六本木ヒルズ内に入る。森タワーを下から見上げると、その高さが分かる。
ヒルズに隣接してテレビ朝日があるため、『テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION』と題してドラえもんが大量配備されていた。
東京メトロ日比谷線の六本木駅からは簡単である。1C出口が六本木ヒルズに直結している。
ともあれ、アーツセンターギャラリー入口に到着。ルーブルNo.9以外にも、幾つかの展示が並行されているようだった。
入口の手前で行列を発見。お盆明けの平日なので空いているかと思ったのだが、見通しが甘かっただろうか…。と思いきや、これは同時期に開催中のジブリの大博覧会に並んでいる人たちだった。
チケット売り場に入ったら左手の受付に進み、特に並ぶことなく当日券を購入できた。ローソンチケットで前売り券を購入していればオリジナル記念イラストチケットを貰えるのだが、すっかり失念していた。残念だが仕方ない。
そのまま奥のエレベーターに進む。空港のような金属探知機(と思われる)も配置されていた。
展示されているのは地上52階のフロアだが、エレベーターの昇降が速いので実感はなかった。
場内での禁止事項はご覧の通り。写真撮影も原則的に不可である。
出展されている漫画/BD(バンド・デシネ)をパネル化したものが並んでいた。
その次のコーナーは、出展しているクリエイターの紹介パネル。日仏出身者を中心とした名前が並ぶ。
こうした16人がそれぞれ制作した、ルーブル美術館をテーマとした漫画作品の展示が、本展の主旨である。
ちなみにタイトルとなっている「No.9」とは、漫画を9番目の芸術として捉えようという考え方から来ているそうである。参考までに、8番目までを本展の説に従って挙げると、建築、彫刻、絵画、音楽、文学(詩)、演劇、映画、メディア芸術、となる。
3分ほどのオープニング・ムービーを視聴ののち、展示室へと入った。このサモトラケのニケと漫画を合わせたモニュメントまでは、撮影可能とのことだった。
展示の本体については撮影不可なので文字情報で軽く説明しよう。
作品のテーマごとに全3章に区分し、それぞれ各5~6人の作品の原画やコンテなどを展示したものがメインだった。その多くは既刊からの抜粋なので、作品そのものとして鑑賞することは難しい。筆使いや色使い、枠外の走り書きなどを見るものと思われた。作品として通読したければ、既刊を購入すべきだろう。
ただ、何点かは本展のための描き下ろし作品のようで、こちらは作品として全体を読むことができた。描き下ろしの作品は、ショップで売られている本展の図録に収録されているので、気になった方は手に入れると良いかもしれない。
上記の通り、メインは漫画の展示なのだが、その合間には、フランス語圏を中心に築かれてきた「バンド・シネ」と、いわゆる日本の“マンガ”との違いについての説明、作家のアトリエを撮影したスナップ写真や初期の下書き、ルーブル美術館そのものについての情報なども盛り込まれており、見応えのあるものとなっていた。
出口~ショップ~帰路
展示の終わりまで来ると、再び撮影可能なゾーンが置かれていた。
こちらは、本展の作品群のコマ割りの中に、観覧者も収まって撮影ができるという、“顔はめ看板”の亜種のようなコーナー。
展覧会MUSE(イメージガールのようなもの?)を坂本眞一先生がイラストにしたものや、本展のイメージソングを手掛けた米津玄師氏によるイメージイラストの展示もあった。
ローソンチケット購入特典の引き換えコーナーもここにあった。 会場から出ると、オフィシャルグッズの販売所。図録の他にも、トートバッグ、Tシャツやマグカップなどが揃えられており、出店作品の単行本もあった。
再びエレベーターで地上に戻り、ゲートをくぐれば森タワーの中。
麻布十番駅にも行けるが、ここは最も近い東京メトロ日比谷線で帰ることにした。
雨が降っていると少し心許ない屋根付き回廊を歩き、地下の日比谷線六本木駅へ。
正味の鑑賞時間は、2時間といったところだったろうか。もう少し急げば、90分程度に収まるかもしれない。
展示の仕方に少し改善の余地がある(台詞などのネームを、通常の展示のように作品の下に貼るだけでは読み辛い)ように思えた。が、そういう点は新しい試みに付き物でもあるだろう。
日仏の漫画文化の交流を促進したり、あるいは芸術として漫画を捉えるという提案をしたという点に、本展の意義はあるだろう。ただ、そうしたこととは別に、実在の場所を題材に、同時期に幾人もの作家が作品を創るというのは興味深かった。同じような動きが、今後も出てくると面白いと思う。
なお、東京での本展は9月25日までだが、その後は以下の予定で各地を回るとのこと。お近くで興味がある方は出かけられては如何だろうか。
○大阪(グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ)
2016年12月1日~2017年1月29日 ※12月31日、1月1日は休館
○福岡(詳細未定)
2017年4~5月開催予定
○名古屋(松坂屋美術館)
2017年7月15日~9月3日