100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 恐怖 」 一覧

【一会】『双亡亭壊すべし 4』……彼方から来たらんとするもの

双亡亭壊すべし(4) (少年サンデーコミックス)

 東京都豊島区に建つ、謎めいて不吉な建築物〈双亡亭〉が引き起こす奇怪な出来事と、そこに巻き込まれ、これを破壊せんとする者たちを描いた『双亡亭壊すべし』。4巻が刊行されたのは4月のことです。既に先月下旬に5巻が出ていますが、追っかけで思ったことを書いておきましょう。
 〈双亡亭〉内に侵入し、超常的な事態に遭遇する、駆け出し絵描き青年・凧葉務(たこは・つとむ)と、魔を払う〈刀巫覡(かたなふげき)〉の少女・柘植紅(つげ・くれない)、そして自衛隊の突入部隊と民間の能力者たち。そして、虚空から舞い戻った少年・青一(せいいち)と、〈双亡亭〉に父を奪われた少年・緑朗、そして、国会議事堂に2人を呼び寄せ、集った歴代の総理たち。それら2つの視点から、物語は語られてきたのでした。

(さらに…)

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【一会】『白暮のクロニクル 10』……イヴの決着

 厚生労働省の夜間衛生管理課(通称「やえいかん」)の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、その夜衛管が管轄する不死人種“オキナガ”の少年(に見えて中身は88歳の“ご老人”)雪村魁(ゆきむら・かい)。このバディを中心に、12年ごとに女性を惨殺するシリアルキラー「羊殺し」の追跡……

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【一会】『双亡亭壊すべし 3』……人は、辛い過去の奴隷ではない

 東京都豊島区にある“おばけ屋敷”、双亡亭が引き起こす奇怪な凶事と、そこに巻き込まれ、これを破壊せんとする人間たちのドラマ『双亡亭壊すべし』の3巻が、1月に刊行されました。ついに双亡亭内に侵入した駆け出し絵描きの青年・凧葉務(たこは・つとむ)と魔を払う〈刀巫覡(かたなふげ……

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【一会】『双亡亭壊すべし 2』……〈双亡亭〉突入。そこで待つのは絶望か

 東京都内に建つ謎の建築物〈双亡亭〉をめぐり、絵本作家志望の青年、〈双亡亭〉に立ち入ってしまった少年、その姉で退魔の力を有する〈刀巫覡(かたなふげき)〉の少女、そして、時の彼方から還ってきた少年、といった人物たちによって紡がれる“おばけ屋敷”ホラー漫画『双亡亭壊すべし』。……

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【一会】『双亡亭壊すべし 1』……何を憎み、何ゆえ破壊を願うのか

 『うしおととら』(100夜100漫第64夜)『からくりサーカス』(第27夜)『月光条例』(一画一会第26巻以降)など、藤田和日郎先生の作品には多く言及してきましたが、先月、新たな連載作品『双亡亭壊すべし』の1巻が刊行されました。ひと月ばかり遅くなりましたが、読んで思った……

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第188夜 独りで穏やかに生きていける、つもりだった…『ヒミズ』

「ねぇ・・・・何かないの? ・・・・有名になりたいとか/お金持ちになりたいとか・・・・若者らしいフレッシュなヤツは」「ないね」「オレはモグラのようにひっそりと暮らすんだ・・・・・・・・」 『ヒミズ』古谷実 作、講談社『ヤングマガジン』掲載(2001年1月~2002年……

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【一会】『就職難!! ゾンビ取りガール 2』……あれ? 「成功」してるし恰好いい…?

 『就職難!! ゾンビ取りガール』の1巻もよかったのですが、2巻でぴたりと軸が決まった気がするので書き留めます。  ゾンビが出る世の中、全国区では知らない人の方が多そうな東京都下(田無とか小平あたり?)を舞台に展開する、ゾンビ的事象に対処する零細企業「ゾンビバスターズ」……

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第172夜 不気味で偉大な、その図形から逃げられない…『うずまき』

「最近オレ、この町がいやでしょうがないんだ。/この町にいたらどうにかなっちまうぜ。」「どうして?」「どうしてって…君は何も感じないのか?/オレは昼間、この町を離れているからよけいに感じる…/この町の駅のホームに降りたつたびにめまいを覚える…/この町はオレを幻惑しようとしている…!……

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第147夜 ぐちゃぐちゃな、自意識と外界の間で…『空が灰色だから』

「物心も付いてない頃/家族で出かけた遠い町 太陽光を浴び黄金色に燃えていた麦畑に今度は私が連れていくから/火が鎮まるまでお話しよう/その後は一緒に流れ星を探そう/古旅館の頼りない窓を優しく開けてせーので見上げた夜空には/星なんてひとつもなくて」 『空が灰色だから』阿……

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第114夜 決して相容れず、けれどもかけがえのないもの達…『蟲師』

「蟲……?」「ああ/陰より生まれ/陰と陽の境にたむろするモノ共のことだ/それが見える者は少ないが/この世界の隅々にまで/それはいる」 『蟲師』漆原友紀 作、講談社『アフタヌーンシーズン増刊』→『月刊アフタヌーン』掲載(1999年1月(読切)~2008年8月)  蟲……

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