100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

*

「 青春 」 一覧

【一会】『まるせい 2』……真摯にエロスを追い求めるということ

まるせい (2) (ヤングキングコミックス)

 成年漫画に青春をかける、作者の経験(色々な意味で)と創作を混濁させて生み出された青年、花比野Q一朗(はなびの・キューいちろう)の物語『まるせい』も、無事2巻の刊行を迎えました。前巻の最終盤で大変かわいそうなことになったQ一朗ですが、どうにか持ち直して仕事(成年漫画の執筆)を進めつつ、やっぱりあの女性この女性と桃色なことになったりしております。桃色なだけでなく、とある電撃的な生活の変化とその余りにも短い終結もあったりして、妙に疾走感のある作風に仕上がっているのも、なにやら魅力的だったり。
 元アシスタントの下丸子まるこ(しもまるこ・――)、元彼女で現アシスタントの麻生朋絵(あそう・ともえ)、編集者の吉永櫻子(よしなが・さくらこ)に新担当の市岡愛未(いちおか・あいみ)といったQ一朗の周囲の女性たち(およびQ一朗氏との関係)が創作なのかノンフィクションなのか、幻惑された自分は1巻について書いた時に思わず取り乱したものですが、今巻のあとがき漫画によれば創作とのこと。ただし、やっぱりモデルは存在するようで、現実に存在する人を元にしたキャラクターを脱がせたりカラませていいのか、という辺りに、先生もそれなりに困惑というか呻吟というか、されているのが新鮮に思えます。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

第184夜 ズレとは、絶望であり希望でもある…『となりの怪物くん』

「ハルのお陰で私は2倍忙しくなった/私のことだけじゃなくて/私以外のことも考えなきゃいけなくなったから」[他人(ひと)と関わる限り/傷ついたり/傷つけられたり/それでも/ひとを求めてしまうのは]「…まあ/しかたないか/きっと/そういうものなんだろう」 『となりの怪物……

thumbnail

【一会】『少女ファイト 11』……誰だって古傷が堪えていないわけじゃない

 今回も新たに言及する漫画です。100夜100漫の方でも『BAMBOO BLADE』(第182夜)を語ってますし、“女子高生部活モノ(体育系)”がマイブームなのかもしれません。  さて、この『少女ファイト』、概要としては、姉(既に故人)への複雑な感情を紛らわすために……

thumbnail

第182夜 構えたそれは、自他の纜(ともづな)…『BAMBOO BLADE』

「コジロー先生」「キリノ」「だったらこれから実績をつくればいいじゃないですか」「これから……?」「そーです! この剣道部をもっともっと強くして――/全国大会に出場させるんですよ!!/誰もが認める結果を残せば/誰も何も言えなくなりますよ!!」 『BAMBOO BLAD……

thumbnail

第177夜 磁気仕掛けな少女の憧憬と、少年たちの惑い…『電影少女』

「ちょっ/ちょっと/キミはなに者なのかちゃんと説明してよ!」「ん/「ビデオガール」だってば/キミをなぐさめるために出てきたの/ビデオの中でもそう言ったろ」「そーいうことじゃなくてさ」「いいじゃね――か/どういう事だって/こまかいんだよおまえ!」 『電影少女』桂正和 ……

thumbnail

【一会】『月影ベイベ 3』……大人の感傷と若者の幻滅

 1巻以来、楽しみに読んでいますが、ここで言及するのは初めてです。『月影ベイベ』3巻。現状では月影にもbabyにもあまり関係がありませんが、それは作者の前作『坂道のアポロン』(100夜100漫第138夜)でもそうで、それでも全編語られ終わった時にはほんのりと意味が薫るとい……

thumbnail

第175夜 水面に映る明朗快活…『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』

「ここで泳ぐ意味ないことないよ/レベルとか/そんなこと言っちゃダメだよ/ここではみーーんな/楽しいから泳いでるんだよ」 『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』はっとりみつる 作、講談社『週刊少年マガジン』掲載(2005年7月~2008年4月)  “ウミショー”こと県立……

thumbnail

第173夜 その軽さに隠された、真摯な心と苦い過去…『ガキ教室』

 2014/04/26  100夜100漫, ,

「あの…先生/何か変なことおっしゃってません?」「大人の事情ってヤツでさぁ…/ガキ嫌いだけど教師やらねーとオレ ガチヤバイんだよ!!/だからお前ら…/ぜーーったいオレに面倒かけんなよ!!/な!」 『ガキ教室』小沢としお 作、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(20……

thumbnail

第171夜 思い出になる日々を、呑気さで奏でよう…『けいおん!』

「梓 さっき何で私が外バン組まないのか聞いたよね/やっぱり私はこのメンバーとバンドするのが楽しいんだと思う/お茶飲んだり/だらだらすることもあるけど/それも必要な時間なんだよ」「……本当に?」「多分…」 『けいおん!』かきふらい 作、芳文社『まんがタイムきらら』……

thumbnail

第168夜 髷と笑いの軌跡…『県立伊手高柔道部物語 いでじゅう!』

「ご、ごめんね。なんか変な奴ばっかりで…/けど、よかったら見学くらいしていってよ!」「(いい!)」「林田達のかけ合いは、桃ちゃんのお笑い心に火をつけた!」 『県立伊手高柔道部物語 いでじゅう!』モリタイシ 作、小学館『週刊少年サンデー』掲載(2002年7月~2005……

広告

広告