100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 ヲタク 」 一覧

【一会】『Spotted Flower 3』……“汚れた大人”になった夜

Spotted Flower 3

 作者の有名作『げんしけん』(100夜100漫第3夜)で見覚えがあるような、二次元ヲタクな夫と一般人で夫ラブな妻。2人を中心とした“日常&妊娠→出産ストーリー”のような体で綴られてきたこの漫画『Spotted Flower』。
 予想よりも全然はやく3巻が出たのも、もう1年前の話となってしまいました。前述したような作品の枠から自ら逸脱するような、ある意味で衝撃的な今巻について、だいぶ遅くなりましたが語りたいと思います。

命名と妻の元彼

 前巻の本編ラストにて無事に出産が果たされ、母となった妻。妻と夫の共通の友人らしき皆さんが病院に駆けつけてきます。何気に1巻から皆勤のコスプレ大好きな女性と、ちらりとしか出てこず顔も見えませんが彼女の夫と思しき髭の男性、吃る癖のある男性と、『げんしけん』読者にとっては「あの人とあの人なんだろーなー」という面々です。
 友人らが去った後、今度は妻の祖母が来院。以前も相談しましたが未定だった赤ちゃんの名前について、そろそろ決めないとなりません。
 祖母の発案で決まった、赤ちゃんの名前は「咲」。やはりこの漫画の元ネタと云うべき『げんしけん』で登場した名前です。これは「この漫画はパラレルワールドですよ」という作者のメッセージと受け取っていいのでしょう。しかし相変わらず、お婆ちゃんは夫の趣味への理解があり過ぎですね。

(さらに…)

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【一会】『Spotted Flower 2』……“攻略法”と、(ある意味)危険な後輩が夫に迫る

 二次元ヲタクな夫と、“一般人”で妊娠中の妻。名前こそ明らかにされていませんが、どこかで見たような(具体的には作者の代表作『げんしけん』[100夜100漫第3夜]の斑目さんと春日部さん方面)夫婦の、割と赤裸々な欲求と不満な日々を軽妙に描いた『Spotted Flower』……

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第195夜 個人教授は軽く甘く、しかし数値的には厳密に…『マンガ 化学式に強くなる さようなら、「モル」アレルギー』

「プラスの電荷を持つナトリウムイオンとマイナスの電荷を持つ塩化物イオンは静電気の力でお互いに近づいて……/引き合って結合する」「結合……」「うん」「そして……/白いものができる」「まあ……」「塩だ」「塩? 塩を出してどうすんのよ/ああもう! ムードもへったくれも!」 ……

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【一会】『Spotted Flower 1』……ヘタレヲタ夫とカタギ強気妻の「そんな未来」

 刊行からだいぶ経って(1か月ちょっと?)しまいましたが、自分的にはつい先日やっと読んだのでここに書きます。『Spotted Flower』の第1巻ですね。  木尾士目先生と云えば、やはり『げんしけん』(100夜100漫第3夜)が有名ですが、その後の『ぢごぷり』での、育……

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第37夜 メタリックな胸の内の、天真爛漫と哀しみ…『ぼくのマリー』

「あたしが練習台になってあげる/あたしを本物の真理さんと思ってデートに誘ってみてよ」 『ぼくのマリー』竹内桜 作、三陽五郎 協力、集英社『週刊ヤングジャンプ』掲載(1994年1月~1997年2月)  理工系で発明オタクの大学生、雁狩(かりがり)ひろしは、同じテニス……

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第34夜 困惑も諍いも一時の旅情も乗せて、列車は行く…『鉄子の旅』

 2013/06/07  100夜100漫, ,

「列車を乗り降りして、久留里線の駅、すべてを見て回るんだ!!」「なんだそりゃーっ!!」 『鉄子の旅』菊池直恵 作、小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ増刊IKKI』→『月刊IKKI』掲載(2002年1月~2006年10月)  売れない女性漫画家キクチは、小学館の漫……

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第29夜 リミッター解除した男達の極限妄想…『妄想戦士ヤマモト』

「俺たちはたしかにクズだ/自分でもヒクぐらいのクズだ/だがっ/だからこそっ/俺たちは漢でありたいと願うのだ!」 『妄想戦士ヤマモト』小野寺浩二 作、少年画報社『アワーズライト』→『アワーズ増刊』→『ヤングキングアワーズ』掲載(2000年7月~2005年12月)  ……

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第17夜 二次ヲタにだって二次ヲタなりの家族愛…『おたくの娘さん』

 2013/05/21  100夜100漫,

「あのお父さん…/ひとつ聞いていい?/お父さんって…/『おたく』なの?」「ごめんね」 『おたくの娘さん』すたひろ 作、作者Webサイト上掲載(2005年2月23日~)→富士見書房『月刊ドラゴンエイジ』掲載(2006年11月~2011年10月)  守崎耕太(もりさき……

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第3夜 二次元ヲタクだって、青春するし恋もする…『げんしけん』

「俺に足りないのは覚悟だ」 『げんしけん』木尾士目 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(2002年4月~2006年5月)  晴れて椎応(しいおう)大学に入学した新入生、笹原完士(ササハラ・カンジ)にはひそかな野望があった。それは高校時代にひた隠していたオタク趣味(……

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