漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 旅 」 一覧

【一会】『アルテ 4』……想いを残し、新天地へ

アルテ 4 (ゼノンコミックス)

 16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、貴族出身ながら画家を志望する元気少女アルテの修行の様子と、師匠であるレオへの淡い恋心、当時の人々の生活描写がそれぞれに興味深い『アルテ』。先ごろ4巻が発刊されましたので、書き留めておきましょう。

 前巻では重労働のフレスコ画の助手を何とかこなし、男社会である工房の同業組合に認められたアルテですが、今巻もまた変化の予感が漂っています。それをもたらしたのは、やはり前巻のラストで登場した貴族らしき青年でした。名門ファリエル家のユーリと名乗った彼は、自身の地元であるヴェネツィアへとアルテを連れて行きたいと申し出ます。名目はファリエル家の肖像画家、兼、彼の姪っ子の家庭教師。アルテを誘う理由は「女」で「貴族」出身だから、と、この辺りも予想通りですね。
 一度は断ったものの、結局アルテはユーリの誘いを受け、レオのもとを一時離れることに。レオとお供の人たちと一緒に、陸路と海路を乗り継いでヴェネツィアに到着、というところまでが今巻本編の内容ですが、そのプロセスにはやはり、仕事と女性をめぐるエピソードが配置されておりました。

(さらに…)

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【一会】『少女終末旅行 2』……希望が潰えた時に浮かぶもの

 先日、話題の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(公式サイト)を観てきました(高性能サブウーファーを新規導入した立川シネマシティの「極上爆音上映」は確かにすごかったです)。過激に恰好いい世界観と、人間の誇りを謳うストーリーがとても面白かったのですが、あの映画が描く遠未……

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第204夜 惑い彷徨ってこそ、救う世も在れ…『水使いのリンドウ

「わからないよアッシュ…/いままでも何も知らずに間違いだらけだったんだ……/自分が正しい自信は何もない…」 『水使いのリンドウ』一色登希彦 作、集英社『ジャンプSQ.19』掲載(2010年8月~2012年6月)  竜と皇族(おうぞく)の間に交わされる百年契約で成り……

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【一会】『魔法陣グルグル2 4』……「ウソ」と「ホント」で禍根の予感

 今回も、前巻からきっちり8か月で刊行となりました『グルグル2』。前巻でサビーナ山の「ともだちのダンジョン」を無事にクリアした勇者(?)ニケとグルグル使いククリたちの一行。しかし、ククリと同じミグミグ族である魔王によって、膨大な魔力を誇る魔神「月」は奪われ、夜は魔王の時間……

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第190夜 海を渡った会津者たちの夢の果て…『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜

「黄金を夢見た者も/故国で行き場をなくした者も/覚悟して海を渡りここに行きついた/ここで生きていくほかないのだ/異国で生きるとはそういう事だ」 『White Tiger〜白虎隊西部開拓譚〜』夏目義徳 作、集英社『グランドジャンプ』→「GRAND JUMP WEB」掲……

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【一会】『ギガントマキア』……全存在を巻き込んだリングのただ中で、咆える

 『ベルセルク』があまりにも有名な、というか、それ以外の作品はこのところ手がけておられなかった三浦健太郎氏ですが、数えてみれば今作が実に24年ぶりとのこと。武論尊氏の原作で書いた『ジャパン』以来ということになるんでしょうか。24年という年月を思えば、そりゃ自分(1……

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第160夜 少女の帰還を導くのは、凄惨な楽園の幻視…『クーの世界

「今日もまた/クーの世界で目覚めるんだろうなあ/どうせ夢がつづくなら/ずっとクーの村で暮らしたいなあ/家捜しの旅なんて無駄だよって/夢の中の私に言ってあげられたら……」 『クーの世界』小田ひで次 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(1999年11月~2000年11月……

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第133夜 奇妙奇天烈な食べ物と変な色気で星3つ…『奇食ハンター

「・・・・・・・・・・残していい?」「ヌ!?/逃げるな! 奇食ハンターとして恥ずかしくないのかッ!!」「な・・何? その奇食ハンターっていうのは?」 『奇食ハンター』山本マサユキ 作、講談社『週刊ヤングマガジン』掲載(2007年6月~2010年3月)  旧車漫画『……

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第115夜 江戸前の七兄弟、親を偲んで旅路かな…『虹色とうがらし

「つまりなにか?/おれたちは一人の男があっちこっちの女に手をだして産ませた子どもってわけか?」「人ぎきが悪いな、それぞれみんな本気で愛しあった結果じゃ。/それが証拠に同じ年のやつは一人もおらん。」「ふざけるない!」 『虹色とうがらし』あだち充 作、小学館『週刊少年……

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第114夜 決して相容れず、けれどもかけがえのないもの達…『蟲師

「蟲……?」「ああ/陰より生まれ/陰と陽の境にたむろするモノ共のことだ/それが見える者は少ないが/この世界の隅々にまで/それはいる」 『蟲師』漆原友紀 作、講談社『アフタヌーンシーズン増刊』→『月刊アフタヌーン』掲載(1999年1月(読切)~2008年8月)  蟲……

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