漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 悲壮 」 一覧

【一会】『Pumpkin Scissors 20』……蜈蚣のように殺し、厳として屠る

Pumpkin Scissors(20) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

 “帝国”とフロスト共和国の戦争によって生じた「戦災」への対処を旨とする帝国陸軍情報部第3課、通称「パンプキン・シザーズ」。“お祭り部隊”と揶揄される課にあって、真の戦災復興と正義とは何かを問い続ける貴族出身のアリス・L・マルヴィン少尉と、特殊部隊群「不可視の9番(インヴィジブル・ナイン)」所属という過去と自らの殺人衝動に慄くランデル・オーランド伍長を主人公に据えつつ、未だ残る貴族と平民の間の軋轢、周辺諸国との政治的関係、文明が進展していくことへの期待と不安といった要素も盛り込んだ「重量級ドラマ」なこの漫画の20巻が、先月17日に刊行されました。遅くなりましたが、読みましたので何がしか述べたいと思います。

 今巻も描かれるのは、前巻までに引き続き、“帝国”で開催された西方諸国連盟(ネヴュロ)合同会議の会期中に勃発した、“抗・帝国軍(アンチ・アレス)”によるテロとの戦い(というより、もはや大規模市街戦)です。情報部上層の面々の機転、現場の個々人の奮闘により、“帝国”は大ピンチからはどうにか脱しつつある様子ではありますが、アンチ・アレスの高機動装甲車“蠍の類型(グラフィアス)”はまだ5輌が健在。これに対してオーランド伍長は相変わらず単身で血みどろの戦闘を続け、陸軍情報部は切り札「ジャガーノート」を投入して対抗を試みます。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

第206夜 それはまるで天鵞絨のような悪…『校舎のうらには天使が埋められている

「ようこそ/4年2組へ/ずぅ――――っとなかよしでいようね」 『校舎のうらには天使が埋められている』小山鹿梨子 作、講談社『別冊フレンド』掲載(2011年8月~2013年5月[本編]、同12月~2014年4月[後日譚〈触〉編])  赤ヶ瀬小学校4年2組に転校してき……

thumbnail

【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 2』……温泉地の勝負の行方はロシア式

 巫女に次いで猫耳という、ある意味で近年のヲタク界隈の要求を飲み込んだ上で、見事に渋み溢れる作品世界を描き出す宇河弘樹先生の『猫瞽女―ネコゴゼ―』第2巻が先日刊行されました。  描かれるのはパラレルな195X年。戦争に勝利したソ連によって支配され「日本自治ソビエト社会主……

thumbnail

【一会】『いぬやしき 5』……それは、果たして贖罪なのか

 地球外生命体らしき存在たちの事故に巻き込まれ、現在の人類には不可能な能力を付与されたアンドロイドとして復活した、初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)の、それぞれの“生きている感じ”をめぐる活躍と殺戮を描く『いぬやしき』。先月後半に……

thumbnail

【一会】『七つの大罪 17』……それぞれの試練の時

 ここのところ更新が刊行に追い付いていないで恐縮ですが、先月発刊の『七つの大罪』17巻を読みましたので書き留めておきます。ちなみに今巻の限定版には付箋ブックが付属。これはけっこう実用的かもしれません。  今巻はずばり、いわゆる修行の巻と云えるでしょう。メリオダス……

thumbnail

第204夜 惑い彷徨ってこそ、救う世も在れ…『水使いのリンドウ

「わからないよアッシュ…/いままでも何も知らずに間違いだらけだったんだ……/自分が正しい自信は何もない…」 『水使いのリンドウ』一色登希彦 作、集英社『ジャンプSQ.19』掲載(2010年8月~2012年6月)  竜と皇族(おうぞく)の間に交わされる百年契約で成り……

thumbnail

【一会】『白暮のクロニクル 5』……研修のち悪意不在の罪、ときどきラブコメ

 吸血嗜好と長命性を持った“オキナガ”がいる世界を舞台に、厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)の新人、伏木あかり(ふせぎ・――)と、古参の“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)を中心に描かれる、ファンタジック社会派公務員ミステリ(?)な『白暮のクロニクル』。予告通り4……

thumbnail

【一会】『Pumpkin Scissors 19』……“人間”との戦いを、嘲笑うな

 “帝国”とフロスト共和国の戦争による大小の「戦災」からの復興を担うとして設置された、帝国陸軍情報部第3課、通称「パンプキン・シザーズ」。そのメンバーの活躍を描くこの漫画ですが、前巻からおよそ10か月をおいての新刊刊行となりました。  前巻に引き続き描かれている……

thumbnail

【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 1』……猫耳による哀愁の唄と寂びた言葉

 実は最近、猫を飼い始めたのだけど、家の環境に慣れてくれるまでなかなかに大変でした。そんな折この漫画が刊行されたので個人的なタイムリー感を抱いたりしております。『朝霧の巫女』(100夜100漫第56夜)の宇河弘樹先生による新作です。  現実とパラレルな、猫たちによる……

thumbnail

第202夜 血溜まりに“真の友情”を映して…『バトル・ロワイヤル

「オレもだ……/オレもお前も少しずつ間違っていたんだ…/――だから俺とお前でだっ」「えっ!?」「オレの判断とお前の心(ハート)が一つになって……/本当の正解だっ」「………/……………ありがとう/川田」「――ったく………/お前ってヤツは涙腺の涸れねえ男だなっ」 『バト……

広告

広告