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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 悲壮 」 一覧

【一会】『七つの大罪 36』……苦境の中で輝くのは、いつだってそれだ

七つの大罪(36) (講談社コミックス)

 人間と、そのトップレベルの戦士である聖騎士たち、彼らを含む全てを滅ぼさんとする魔神族、それを阻止して権勢を維持したい女神族。この3勢力を中心に、キャメロットとアーサー王の伝説の前日譚を思わせる物語が紡がれる、鈴木央氏のイングリッシュファンタジー『七つの大罪』。4月に36巻が出ましたので、例のごとく、概要や感想などいってみようと思います。

 前巻終盤で無事に再会を果たし、「生命の泉」の力が消えて(恐らくは)普通の人として生きていくこととなった、〈七つの大罪〉「強欲の罪(フォックス・シン)」のバンと、森の聖女エレイン。「少しだけ待っててくれ♫」と言い残し戦場に去って行くバンのシーンから、今巻は始まります。

すべては戦いのさなかへ

 自らの贖罪を対象者の転生後に託す術“転生の誘い”で、命を落としたデリエリと黒犬オスローの葬送としたマエル。彼を気遣う「色欲の罪(ゴート・シン)」ゴウセルと王女エリザベス、妖精王としての変貌を果たした「怠惰の罪(グリズリー・シン)」キングと、それに惚ける「嫉妬の罪(サーペント・シン)」ディアンヌの一幕を挟み、場面は熾烈な戦いのただ中へと移ります。

 キャメロットでは、いつも余裕を絶やさない「暴食の罪(ボア・シン)」マーリンをして、「勝機は消えた」と言わしめた「原初の魔神」と、「傲慢の罪(ライオン・シン)」エスカノールの激突が続きます。
 が、正午を過ぎて力が減衰しつつあるエスカノールは、原初の魔神に抗しきれず。真の力を発揮しつつある霊槍・シャスティフォルの遠隔操作でキングが加勢しますが、ダメージから回復したゼルドリスが応戦。事態は劣勢で推移します。

(さらに…)

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【一会】『七つの大罪 33』……その男、マエル

 ついに人間・女神族の同盟軍と魔神族の戦闘が始まった、騎士と魔力のイングランドファンタジー『七つの大罪』。前巻32巻では、魔神族〈十戒〉の一角、「慈愛」のエスタロッサの狂乱ぶりが描かれましたが、今巻33巻はどのように展開するでしょうか。 劇場版 七つの大……

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【一会】『七つの大罪 32』……「沈黙」と「慈愛」に纏わる諸事情

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【一会】『七つの大罪 31』……英雄不在の聖戦へ

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【一会】『七つの大罪 30』……神・魔・人の三陣営

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【一会】『3×3EYES(サザンアイズ) 鬼籍の闇の契約者 2』……世界平和のための一試行

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【一会】『少女終末旅行 6(完)』……Fly Girls to The Moon

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【一会】『少女終末旅行 5』……最上層、その手前の追憶

 沈黙が支配する終末間近な未来世界を、履帯式牽引車両ケッテンクラートで旅する2人の少女、黒髪黒瞳・しっかり者のちーちゃん(チト)と金髪碧眼マイペースなユー(ユーリ)。2人の、呑気さと悲壮さの絶妙な混淆に哲学的な問いを散りばめた旅を描いたつくみず氏『少女終末旅行』の、最終巻……

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【一会】『Pumpkin Scissors 21』…… 今、押込めていた「正義」を語ろう

 そろそろ刊行が1年前になろうか(2017年8月刊行)という事実に戦きますが、それでも『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』第21巻について、色々と書こうと思います。  長らく続いた“帝国”と“共和国”の戦争。停戦から3年を経ても、その傷痕は種々の……

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【一会】『進撃の巨人 25』……その信念の意味と価値

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