漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 SF 」 一覧

【一会】『いぬやしき 5』……それは、果たして贖罪なのか

いぬやしき(5) (イブニングKC)

 地球外生命体らしき存在たちの事故に巻き込まれ、現在の人類には不可能な能力を付与されたアンドロイドとして復活した、初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と高校生の獅子神皓(ししがみ・ひろ)の、それぞれの“生きている感じ”をめぐる活躍と殺戮を描く『いぬやしき』。先月後半に5巻が刊行されましたので、思ったことを書き留めます。

 今巻はほぼ全部が、凶悪連続殺人犯として指名手配された皓の物語。壱郎さんはほとんど出てきません(皓の旧友である直行と共に皓の行方を心配するシーンで1ページだけ登場しています)。
 前巻ラストで、逃亡先で皓に好意を寄せる渡辺しおん(わたなべ・――)に声をかけられた皓は、そのまま彼女の家に潜伏することに。両親が早くに亡くなり、祖母と孫の2人暮らしの渡辺家は、逃亡者である皓を受け入れます。もちろん、しおんは皓の所業を知っていますが、普段テレビを観ない様子の彼女のお婆さんはどうでしょう。作中ではそこが明確に描かれず、それが皓が感じる不安さを助長しているようにも読めます。
 それでも潜伏先を手に入れたことで、皓の精神は束の間の安息を得た様子。しかしその反面、ネットやテレビに文字通り常時接続できる彼は、自分に対する人々の肉声から逃れられないし、とある悲報を切っ掛けに、再び凄惨な所業を繰り返すことになります。

(さらに…)

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【一会】『いぬやしき 4』……ヒーローの条件は

 地球外生命体がらみと思しき事故に巻き込まれ、ハイパースペックなアンドロイド(サイボーグ?)になってしまった初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と、男子高校生の獅子神晧(ししがみ・ひろ)。1人は人を救い、1人は人を殺め、いずれ直接対決に至るか…といったSFチックな物語……

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【一会】『少女終末旅行 2』……希望が潰えた時に浮かぶもの

 先日、話題の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(公式サイト)を観てきました(高性能サブウーファーを新規導入した立川シネマシティの「極上爆音上映」は確かにすごかったです)。過激に恰好いい世界観と、人間の誇りを謳うストーリーがとても面白かったのですが、あの映画が描く遠未……

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【一会】『いぬやしき 3』……完全なるか、勧善懲悪

 ふとしたきっかけから超強力な戦闘能力を有する改造人間(というよりほぼロボット?)となってしまった初老男性の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と男子高校生の獅子神晧(ししがみ・ひろ)。そんな2人それぞれの「生きてる感じ」を味わうための行動を対比して描く、奥浩哉先生の『いぬ……

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【一会】『アップルシードα 1』……ヘタった世界、の2人、の交錯と乖離

 刊行から2週間ほど空きましたが、ようやく読めたので書きます。  『攻殻機動隊』と並ぶ士郎正宗の代表作で、未完で凍結されている『アップルシード』のリブート(新たに一から語られ直し)版を、『茄子』(100夜100漫第1夜)の黒田硫黄が描くという離れ業な漫画の第1巻です。原……

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第196夜 世界を憂う躁状態に、笑って唖然…『エクセル・サーガ

「出たな権力の手先!」「……いいけどよ」「ええと!/とりあえず名を名乗れっ」「個人情報は答えられないわ/市役所の方から来た者よ」「ほんに胡散臭いな/わしら」 『エクセル・サーガ』六道神士 作、少年画報社『ヤングキング アワーズ』掲載(1996年6月~2011年7月)……

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【一会】『新世紀エヴァンゲリオン 14(完)』……たなごころを、きみに

 超が付くメジャー作品の漫画版で、自分がここで語ることなどもはや無いようにも思うけれど、やっぱり直撃世代として、語りたいので語ります。  ちなみに通常版の発売はまだちょっと先(26日)です。自分は限定版(20日発売)を入手して読みました。  時に西暦2014年。か……

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【一会】『いぬやしき 2』……孤独と恍惚を抱え、戦う機能をイメージする

 刊行からはや1か月弱ということで、かなり出遅れた感がしますが、一くさり語ります。  会社でも家庭でも肩身の狭い、歳よりもかなり老けて見られる犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)58歳が、ふとしたアクシデントによって、自分の記憶や意識を保ったまま強力な武装を持ったアンドロ……

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第185夜 責任=自覚×選択…『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。

「空木宗也、キミは知らないようだから言っておくが――/人に使命感を抱かせしめるものは主義などではない。/誰かの期待だ。」 『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。』田中ほさな 作、小学館『ゲッサン』掲載(2011年9月~2014年1月)  何事においても「ちゃんとしたい……

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【一会】『ギガントマキア』……全存在を巻き込んだリングのただ中で、咆える

 『ベルセルク』があまりにも有名な、というか、それ以外の作品はこのところ手がけておられなかった三浦健太郎氏ですが、数えてみれば今作が実に24年ぶりとのこと。武論尊氏の原作で書いた『ジャパン』以来ということになるんでしょうか。24年という年月を思えば、そりゃ自分(1……

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