漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 恋愛 」 一覧

【一会】『月影ベイベ 7』……なのに、心に沁み入るのは彼の言葉で

月影ベイベ 7 (フラワーコミックスアルファ)

 富山県八尾を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)の3人による淡い三角関係を中央に置き、八尾の伝統舞踊“おわら”をめぐる人々を描いた『月影べイベ』。一時休載もあったようですが無事に再開され、ひと月ほど前に7巻の発刊となりました。
 現実世界とは少しずれて、作中の季節は8月。9月の本番「おわら 風の盆」が迫ってきます。

 そんな今巻の内容は直球勝負。前巻ラストで、ついに光は蛍子に想いを告げたのですが、その後の光と蛍子、そして円という3人のエピソードで、ほぼ占められています。
 蛍子にとって光の告白は全く予想外だったようで、戸惑いが先に立ちます。何しろ彼女の気持ちは円の方を向いているのですし。ただ、里央に相談することで、恋とは違う意味で、光に対する好意を抱いていた自分を発見したようです。一方、秘めたる想いを口にした光の方ですが、表面上はさっぱりとしつつも、やはり蛍子を意識して過ごしています。
 専能寺という立派お寺で、雨音を聞きながら、蛍子は自分の気持ちを光に伝えます。「だらやな俺」と自嘲して笑う光の笑顔が、笑顔なのですが、やっぱり哀しげです。自分も経験がないではないですが、こういう時って、確かにその場では笑うしかないと思います。雨が降っていたのは、光にとって幸いだったかもしれません。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『アップルシードα 2(完)』……新世界は素敵ですか?

 2巻の発刊から早や2か月ほど経ってしまいましたが、じっくりと読みましたので書いておきましょう。『茄子』(100夜100漫第1夜)の黒田硫黄先生による、士郎正宗先生の未完の代表作『アップルシード』のリブートという異色作『アップルシードα』の2巻にして最終巻です。  ……

thumbnail

【一会】『魔法陣グルグル2 5』……勇者さらわれる。乙女パーティ結成

 シロップと粉砂糖たっぷりのパンケーキにハーブティー、そこに何故か具がたっぷり入った豚汁というセットメニューをダンスフロアでいただくような、RPG風メルヘンチックアドベンチャー漫画『魔法陣グルグル2』。先日新刊の5巻が発売となりました。  幻のグルグルと云われる「か……

thumbnail

【一会】『乙嫁語り 8』……不器用娘に、春よ来い

 2月の7巻から10か月で刊行となりました『乙嫁語り』8巻。予想より少しだけ早く出たようです。19世紀中央アジア各地の民族の生活や乙嫁(美しいお嫁さん)について、物語的にも絵的にも丁寧に描かれた漫画です。  今巻の大半は2巻から登場しているパリヤのエピソードです……

thumbnail

【一会】『3月のライオン 11』……対峙の果てと残された者の虚脱

 17歳の少年プロ棋士、桐山零(きりやま・れい)の孤独な戦いと棋士の世界、そして、そんな零を家族のように受け入れる、あかり・ひなた・モモの3姉妹を中心とする川本家のドラマを描く『3月のライオン』。前巻から9か月ほどで11巻の刊行となりました。刊行からひと月ほど経ってしまい……

thumbnail

【一会】『白暮のクロニクル 6』……異質達はすれ違い、物語は加速する

 いわゆる吸血鬼的存在“オキナガ”と、それを管理する厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)という構図を遠景に、夜衛管の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、88歳の少年“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)のコンビがオキナガ絡みの事件を追っていく『白暮のクロニクル』。もう……

thumbnail

【一会】『月影ベイベ 6』……大人の強さ、大人の弱さ

 富山県八尾の伝統舞踊“おわら”を遠景に、“おわら”の踊り手である高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父である佐伯円(――・まどか)の三角関係を中心とした人間模様を描く『月影べイベ』も、先月6巻の発刊となりました。実際の富山市八尾町での……

thumbnail

【一会】『東のくるめと隣のめぐる 2』……“隣”の意味を、もう一度

 8日のサイン会にて入手した、『東のくるめと隣のめぐる』第2巻。予想外の刊行の早さは嬉しい誤算でした。  ※サイン会については以下に記しています。  【探訪】『東のくるめと隣のめぐる』2巻発売記念サイン会…ついでに聖地探しも  東京都で唯一「平成の名水百選」に選……

thumbnail

第203夜 密やかに、たおやかに。純日本な戀の形…『藍より青し

「で でも あおいは かおるさまの側にいたい/ずっとずっと 側にいたい/…側にいたら/…ダメ?」「そんなのムリに決まってるよ/ずーっと側にいることなんて」「じゃあ あおいは かおるさまのこと ぜったいにわすれない/毎日毎日あおいの中で かおるさまのこと ずっと思ってる/だからあお……

thumbnail

【一会】『まるせい 3(完)』……それぞれの道、そしてStand by Meの結末は

 成年漫画(いわゆるエロ漫画)にかける作者の分身、花比野Q一朗(はなびの・キューいちろう)こと日比野龍一朗(ひびの・りゅういちろう)の、仕事関係の女性と深い仲になっても彼女はできない哀感と、一方で漫画執筆にかける熱い姿を描いたこの『まるせい』。自分としては何となく、エロ漫……

広告

広告