漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 地域 」 一覧

第185夜 責任=自覚×選択…『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。

「空木宗也、キミは知らないようだから言っておくが――/人に使命感を抱かせしめるものは主義などではない。/誰かの期待だ。」


時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。』田中ほさな 作、小学館『ゲッサン』掲載(2011年9月~2014年1月)

 何事においても「ちゃんとしたい」が信条の高校生、空木宗也(うつぎ・そうや)は、ある朝ちゃんと分別して出したはずのゴミを“逆分別”されるという意図不明な嫌がらせ(?)を受ける。時を同じくして幼馴染の甲斐庄月音(かいのしょう・つくね)も制服を盗まれ、宗也は自ら犯人捜しを買って出ることに。
 前後して彼らの通う学校に転校してきた謎の美少女転校生、時坂暦(ときさか・こよみ)。なぜか宗也に親しげな彼女は、実は未来の人類のため、歴史を変えるためにこの時代にやってきたと語る。そしてその鍵になる人物こそが宗也だというのだ。
 “今の地球に厳しくすることは、未来の人類に優しくすること“。謎めいた宣言のもと、自分が未来に帰るためにもあの手この手で「環境☆破壊」を画策する時坂さんに、「ちゃんとしたい」宗也は大困惑。学校内外の環境保護活動に命をかける夢原逸花(ゆめはら・いつか)ひきいる生徒会環境監査室の目を掻い潜り、宗也の僅か1歳年上の叔父にして郷土を担う名家の次期当主、藤堂虎也(とうどう・とらや)を巻き込みつつも、宗也と時坂さんのアンチエコロジカルな日々は続く。ドタバタコミカルに、あるいは幾つかの切実な想いを抱きながら。

(さらに…)

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第183夜 その苦界を愛した男の、稚気と危機と機知…『じょなめけ

「癖かな……」「癖?」「俺ぁ子供の頃から茶屋で働いて/客が望むものをまず考えろとたたきこまれて育った/そういうのはもう抜けねぇよ/ずっと裏方でやってきたんだ/“板元”って稼業は世の中全部を客にした茶屋さ/だから俺はやれば最高の板元に……/日本一の裏方になる自信があるんだ」 ……

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第178夜 奇抜さをうっちゃる相撲魂…『大相撲SF超伝奇 五大湖フルバースト

「この技のキレ……………/そして この土俵さばき!!/もはや間違いありません!!/遂に!!/ついに…/還って来たッッ(カム・バック)!!!/デトロイトの英雄が/全米相撲の聖地に/ご帰還だ――――ッ(カム・バ――――ック)!!!」 『大相撲SF超伝奇 五大湖フルバース……

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【一会】『おるたな 宇河弘樹短編集Ⅱ』……三味線と、硝子の靴と、ピー○君

 作者の代表作『朝霧の巫女』(100夜100漫第56夜)の外伝(というか自己パロディ?)が収録されている、というのが恐らく一番の話題であろう短編集が発売されました。「~短編集Ⅱ」とされているのは、2000年に出た『妖の寄る家』が短編集Ⅰに当たるためでしょう。  ……

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第176夜 夢現と血まみれの刃の向こう、優しさの咲く…『竹光侍

「要するに、今の某(それがし)に刀は無用。」「大事な子を一人忘れておいでだよ、お前様」「ん……/見慣れぬ子だな……」「覗いてごらんな、ふふふふふ…」 『竹光侍』永福一成 原作、松本大洋 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(2006年8月~2010年3月) ……

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【一会】『月影ベイベ 3』……大人の感傷と若者の幻滅

 1巻以来、楽しみに読んでいますが、ここで言及するのは初めてです。現状では月影にもbabyにもあまり関係がありませんが、それは作者の前作『坂道のアポロン』(100夜100漫第138夜)でもそうで、それでも全編語られ終わった時にはほんのりと意味が薫るという名付けられ方なので……

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【一会】『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 1』……収束はしてない。だから働いてます

 GWも後半、いかがお過ごしでしょうか。  昨日は憲法記念日でしたね。だからというわけではありませんが、今日は社会派(?)なこの漫画を。  9.11にまつわる漫画はこれまでも結構な数が出版されているかと(商業誌に限らなければもっと多いでしょうね)。漠然とした放射能……

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第175夜 水面に映る明朗快活…『ケンコー全裸系水泳部ウミショー

「ここで泳ぐ意味ないことないよ/レベルとか/そんなこと言っちゃダメだよ/ここではみーーんな/楽しいから泳いでるんだよ」 『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』はっとりみつる 作、講談社『週刊少年マガジン』掲載(2005年7月~2008年4月)  “ウミショー”こと県立……

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第174夜 現代に咲く古式ゆかしい心地よさ…『チマちゃんの和箪笥

「名前って……/私は和久井朝子ですが」「じゃあよく聞いて/朝子さん/朝子さんが この道を望んでるんじゃなくて/朝子さんの中の童(わらべ)が この道を望んでるの/その童が入部したのよ/敬意をはらって命名させてもらったわ」 『チマちゃんの和箪笥』佐野未央子 作、集英社『……

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第172夜 不気味で偉大な、その図形から逃げられない…『うずまき

「最近オレ、この町がいやでしょうがないんだ。/この町にいたらどうにかなっちまうぜ。」「どうして?」「どうしてって…君は何も感じないのか?/オレは昼間、この町を離れているからよけいに感じる…/この町の駅のホームに降りたつたびにめまいを覚える…/この町はオレを幻惑しようとしている…!……

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