地域 | 漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫-2ページ

漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 地域 」 一覧



【一会】『月影ベイベ 6』……大人の強さ、大人の弱さ

月影ベイベ 6 (フラワーコミックスアルファ)

 富山県八尾の伝統舞踊“おわら”を遠景に、“おわら”の踊り手である高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父である佐伯円(――・まどか)の三角関係を中心とした人間模様を描く『月影べイベ』も、先月6巻の発刊となりました。実際の富山市八尾町での「おわら 風の盆」は9月の初旬に行われたようですが、作中での季節はまだ夏。本番に向けての練習がありつつ、物語は紡がれていきます。

 今巻は、大きく3つのパートに分かれていると云えそうです。以下、順に触れます。
 1つ目は、“おわら”の練習を通じての蛍子と、今巻の表紙を飾っている千夏、鳴美の関係です。高校生“おわら”の指導者的立場にある千夏と、蛍子たちと同年代の鳴美は4巻から登場しており、鳴美が蛍子に反感を抱いている様子が描かれていましたが、演技発表会や円たちの過去篇があってそのままになっていました。
 今巻の前半で、どうにか彼女たちの関係にも一件落着が訪れ、ほっと一息ですが、鳴美の心情は想像できていたものの、千夏さんの抱える“とある事情”は意外でした。だからこそ、高校生たちに悔いのないよう踊ってもらいたいということなのでしょう。“おわら”の踊り手の引退が25歳なら、高校生たちが17歳としても、あと8回くらいしか風の盆で踊れないということですし。
 それと、仲間外れにされた蛍子の背中を押したお婆ちゃんの言葉もまた、心に沁みました。自分も子どもの頃、何かで落ち込んでいた折に伯母に「胸張れ」と励まされた記憶がありますが、確信に満ちた励ましを受けると、何とも心強い気持ちになりますね。
 「言いそびれてこじらせたら/後からじゃ/どうにもならんこともあんがよ」とは、きっと娘(繭子)を悲しく喪ったことから出た言葉だと思いますが、辛い記憶を抱えながら、それを孫には繰り返させまいとするところに、大人の強さを感じます。

(さらに…)



広告

広告
thumbnail

【一会】『孤独のグルメ 2』……18年ぶり。無邪気さと、変わらぬ自由さ

 個人で輸入雑貨を商う井之頭五郎(いのがしら・ごろう)が、主に都内の街で見知らぬ飲食店に入り、そこでの食事や湧き起こってくる想念を淡々と描き流す食事漫画『孤独のグルメ』(100夜100漫第63夜)。その第2巻が、実に18年の歳月を経て刊行されました。1996年までの連載で……

thumbnail

【一会】『東のくるめと隣のめぐる 2』……“隣”の意味を、もう一度

 8日のサイン会にて入手した、『東のくるめと隣のめぐる』第2巻。予想外の刊行の早さは嬉しい誤算でした。  ※サイン会については以下に記しています。  【探訪】『東のくるめと隣のめぐる』2巻発売記念サイン会…ついでに聖地探しも  東京都で唯一「平成の名水百選」に選……

thumbnail

【一会】『白暮のクロニクル 5』……研修のち悪意不在の罪、ときどきラブコメ

 吸血嗜好と長命性を持った“オキナガ”がいる世界を舞台に、厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)の新人、伏木あかり(ふせぎ・――)と、古参の“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)を中心に描かれる、ファンタジック社会派公務員ミステリ(?)なこの漫画、予告通り4月末の5巻刊……

thumbnail

【一会】『月影ベイベ 5』……“何てことのない”悲劇と、大人の素直さ

 北陸新幹線が開通し、「取材がだいぶ楽になりそう」との作者コメントが記された、富山県八尾を舞台とした伝統舞踊“おわら”の物語、その5巻が過日刊行となりました。  1巻以来語られてきた、佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の叔父である佐伯円(――・……

thumbnail

第201夜 槌音が背を押す、それぞれの決意…『誰がために鋼は鳴る

「ケンちゃんさんの打つ音は/とてもキレイです/私 あの音を聞くと/がんばれるって思えるんです」「  そっか……」 『誰がために鋼は鳴る』天乃タカ 作、エンターブレイン『Fellows!』掲載(2009年2月~2010年6月)  神戸の北西、山裾に広がる三木市は打刃……

thumbnail

【一会】『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 2』……高線量、重要現場に冴える職人技

 昨年5月発刊の1巻から、8か月ちょっと空いて2巻の刊行となりました、『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』。作者の竜田先生が現地に働きに行く期間があるので、これくらいの刊行ペースになるのは当然といえば当然でしょう。  原発作業の様子が入り組んだ時系列で語られ……

thumbnail

第198夜 笑いあって手を繋いで、それなのに零れる涙…『西荻夫婦

 2015/02/26  100夜100漫, ,

「明日が来なくても/まあ もう充分ってカンジかな―――」「えーッ/もう充分なの?」「うまく言えないけどね」「けっこうあっさりした境地へ/行っちゃうんですね/夫婦って」「なにわかったふうな」「恋愛じゃないからね」 『西荻夫婦』やまだないと 作、祥伝社『フィール・ヤング……

thumbnail

【一会】『乙嫁語り 7』……湯気の中に見つけた無二の人

 6巻から1年と1か月という時間をおいて発刊された『乙嫁語り』7巻。今巻では前巻の「あとがきちゃんちゃらマンガ」での予告通り、フィールドワーカーのスミスさんとその案内人アリが登場します。  とは云っても、冒頭で出てくるのは、まだあどけなさが残る、さっぱり美人アニス。……

thumbnail

【一会】『東のくるめと隣のめぐる 1』……装いではなく素の君で

 通っている高校で隣の席の“どクール才媛”塚原めぐる(つかはら・――)がちょっと気になってる永耕助(えい・こうすけ)。この先もずっと想いは秘めて、ただの“隣の席の人”だと思っていたけれど、家の引っ越しで彼女の隣家に住むことになって――という、ある意味ラブコメのテンプレ的な……



広告

広告