100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 業界 」 一覧

第151夜 「楽しさ」を原動力に、痛くっても、進め…『ハックス!』

「「もうね/この人/頭おかしいんじゃないかってくらい」/「楽しいことだけ考えたらいいんですよ」「大変ですけど/それでアニメはうんと楽しくなります」」「やりましょう/こうしてう…/お/いる場合ではないですよ私たち!」


ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

ハックス!今井哲也 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(2008年6月~2010年5月)

 高校1年生の阿佐実みよし(あさみ・――)は、感情が先走って言葉で表現するのが苦手な小動物っぽい女の子。その浮世離れぶりから部活動も決めかねていたが、新入生歓迎会で放映された自主製作アニメーションに大感動する。
 歓迎会のアニメ放映を仕掛けた生徒会長のみゆきに進言され、自分もアニメを作ってみたいとアニメーション研究部の扉を叩くみよし。しかし、件のアニメは10年以上前の部員が手掛けたもので、現在のアニ研の部員は3年の後藤裕二(ごとう・ゆうじ)1人だけで、その後藤も電脳研究会の三山和寛(みやま・かずひろ)と毎日ゲームばかりという状態だった。
 それでも、もう1人の1年生で同じように歓迎会のアニメに衝撃を受けた児島泰樹(こじま・たいき)の知識と、異様なまでのみよしの作画力に引っ張られるように、アニ研は再び活動を開始する。
 みよしがノートに書いたパラパラ漫画を皮切りに、動画サイトへの投稿を重ねたアニ研は、文化祭での自主製作アニメ上映を次の目標に定める。楽しくも、それぞれ自分について思い悩む製作の日々が続くのだった――。

(さらに…)

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【一会】『白暮のクロニクル 1』……お役所と人ならぬ者と眉毛

 ゆうきまさみ氏が漫画家になる前、地方公務員として働いていた(らしい)ことは、『機動警察パトレイバー』(100夜100漫第45夜)でも書いたし、そう認識されているファンの方も多いと思います。本作『白暮のクロニクル』の主人公は「地方」ではありませんが、厚生労働省で働く公務員……

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【一会】『まるせい 1』……成年漫画描きの青春と苦闘

 刊行から少し経ってしまいましたが、花見沢Q太郎『まるせい』1巻が面白かったので書きます。  タイトルの「まるせい」とは、「○」に「成」と書く、いわゆる成年向け漫画、ようするにエロ漫画のこと。『100夜100漫』は中高生くらいから上の人が読むだろうな、と思って書いて……

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第143夜 直し治される、仏心の導きか…『壊れた仏像直しマス。』

「ここを守りたいのは―/お前だけじゃないってことさ……潰させねぇよ/この工房も/お前の夢も」 『壊れた仏像直しマス。』芳家圭三 作、芳文社『週刊漫画TIMES』掲載(2011年7月~2013年8月)  仏師、英道吉(はなぶさ・どうきち)。仏像の製作と修復に抜きん出……

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第142夜 子育ても仕事もテンション上げて…『ママはテンパリスト』

「ママー/おっぱいだしな?」「……やだ」「あ~~/ごっちゃんねぇ~/おねつ でちゃってるのよォ」「ウソつけ!!/来んな!!/こっち来んな」 『ママはテンパリスト』東村アキコ 作、集英社『月刊コーラス』掲載(2007年6月~2011年5月)  29歳で出産した作者(……

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第140夜 ただ走れ! 働く人と自分のために…『ダンダリン一〇一』

 2014/01/15  100夜100漫, ,

「ん…そろそろ逮捕の執行に向かうぞ!!」「!!」「警察では被疑者逮捕の手柄は手錠をかけた者のものだそうだ/ここは段田さんに譲ろう」「本当ですか!?」「え!?/段田はこれでも女ですで!?/万一被疑者から凶悪な抵抗を受けたら…」「凶悪な抵抗を受けたらなんなんですか?/私は…/監督官で……

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第135夜 白い囲いの中で、我慢の日々…『失踪日記2 アル中病棟』

「恐ろしい/なんか恐ろしいね/恐ろしいと頭で考える自分の声すらも恐ろしいんだよね」 『失踪日記2 アル中病棟』吾妻ひでお 作、イースト・プレス刊行、書き下ろし(2013年10月)  1998年12月28日、かつて失踪した漫画家は、今度は家族の手によって病院に担ぎ込……

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第131夜 ままならない日々と自分を嗤う強靱さ…『ゲゲゲの家計簿』

「今日の出費は……/本とコーヒーで八百円…/義姉さんに三千円借りて……/家内に生活費を渡すと…/ゼロだっ!?」 『ゲゲゲの家計簿』水木しげる 作、小学館『ビッグコミック』掲載(2011年5月~2012年10月)  昭和26年6月。武良茂(むら・しげる)は神戸でアパ……

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第121夜 舞台で融け合う笑いと真剣のエチュード…『犬神もっこす』

「…1か0かなんですね/でも/その間にも割り切れない多くの感情が広がっているって思いませんか/1と0の間に広がる/感情の豊穣の/海……」 『犬神もっこす』西餅 作、講談社『モーニング』掲載(2011年10月~2013年2月)  幼い頃から喜怒哀楽の感情が表に出ず、……

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第117夜 地に澱む神代の穢れに抗うは、筋肉質な純情か…『天顕祭』

「木島/戻って来いよ/たった1年だけどよ/お前のいねェ足場はさみしいもンだ」 『天顕祭』白井弓子 作、同人誌発表(2006年2月~2007年8月)→サンクチュアリ出版より単行本  かつて、この国は「汚い戦争」を経験し、フカシとよばれる毒物に汚染された。そこかしこが……

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