100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 歴史 」 一覧

【一会】『乙嫁語り 11』……いざ復路の旅へ

乙嫁語り 11巻 (ビームコミックス(ハルタ))

 姉さん女房なアミルとカルルクという若夫婦を筆頭に、中央アジアの諸地域における人々の結婚と生活を描いている『乙嫁語り』。最新刊の11巻も読みましたので、色々と書き記したいと思います。
 今巻はほぼ全編、スミスさんのお話。中央アジアの文化に興味を抱き、イギリスからやって来たこのフィールドワーカーも、ただの観察者というわけにはいかなくなってきました。

 冒頭の「寒中歌」は、アミルたちの冬の暮らしを描いたもの。彼女たちの出番は今巻ここだけだったりします。
 各ページ1枚画に少しのネームという、絵本のようなバンド・デシネ(欧州の漫画表現)のような形式は、この漫画でたびたび登場するものですが、ここでは冬の暮らしの楽しみを詠った詩のように思われます。2巻でも、アミルやカルルクが馬に乗りながら即興で作る歌のしりとりみたいな遊びをしていましたが、この時代・この地域では、季節や景色を歌にするというのは割と普通のことだったのでしょう。

(さらに…)

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【一会】『乙嫁語り 10』……それぞれ人生の使い方

 年上のお嫁さんアミルと、まだ少年と云った方が近い風情の夫カルルク。2人と家族たちの生活から始まり、19世紀の中央アジア諸方の結婚と夫婦を描く『乙嫁語り』。先日11巻が刊行されましたが、先に2月刊行の10巻について書きたいと思います。  前巻のあとがき漫画での予……

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【一会】『アルテ 8』……帰郷。そしてこれからの選択肢

 ルネサンス後期のイタリア、貴族のお嬢様ながら画家を目指す少女・アルテの修業の日々を描いている『アルテ』。引き続き、1月刊行の8巻について書きたいと思います。  前巻ラストで、名門ファリエル家の有力者ユーリからのパトロンの申し出を断り、故郷フィレンツェへと帰ることを……

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【一会】『アルテ 7』……一つの仕事の終わりに

 ルネサンス後期のイタリアを舞台に、貴族出身の少女アルテの画家修業を描く『アルテ』。現在8巻まで刊行されていますが、まずは昨夏刊行の7巻について書きたいと思います。  名家ファリエル家の若き実力者ユーリに請われ、一家の肖像画を制作し、同時に当主の娘カタリーナの家庭教……

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【一会】『アルテ 6』……まずは自分の場所で

 ルネサンス末期の16世紀。その古典文化復興の中心地となったイタリアの、男社会な絵画界に、ひとり飛び込んだ貴族の娘アルテを描く絵画修行漫画『アルテ』。1月に6巻が刊行となりました。読んで思ったことを書きたいと思います。  師匠レオのアトリエに住み込んで研鑽を積んでい……

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【一会】『乙嫁語り 9』……同じ方を見ている2人

 昨年暮れに出た、中央アジア諸方お嫁ストーリー『乙嫁語り』の第9巻。だいぶ遅くなりましたが、つれづれ感想などを書きたいと思います。  前巻に続きまして物語は、手先も態度も不器用系なパリヤのエピソードです。  アミルの実家ハルガルの襲撃により家がほぼ全壊し、以来アミ……

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【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 3』……その過去に、戦慄と涙

 戦後まもなくソ連に占領され、共産主義が台頭したパラレルな日本を舞台に、擬人化された猫たちによる遊侠活劇を描いた『猫瞽女―ネコゴゼ―』。盲目の女芸能者・瞽女(ごぜ)にして三味線に仕込んだ暗殺剣の達人でもある夜梅(ようめ)と、ロシア正教に由来すると思われる“機密”により対象……

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【一会】『アルテ 5』……“違い”なんて、無いからこそ

 16世紀初頭イタリア。女性の社会進出が難しかったこの時代を舞台に、貴族の出ながら画家を目指して奮闘する少女アルテの修行の日々と、当時の人々の生活をつぶさに描く『アルテ』。6月下旬に5巻が出ましたが、このほど読みましたので書きたいと思います。  前巻で、生まれ育った……

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【一会】『ドリフターズ 5』……“天下分け目”、再演か

 古代から第二次大戦まで、数多の英雄がファンタジー世界に集い、2つの陣営に分かれて戦う史実考証重視系浪漫バトル漫画『ドリフターズ』。戦いだけでなく、それに付随してファンタジー世界に文明上の革新がもたらされていく過程がまた見どころの漫画です。新刊5巻が出ましたので、刊行……

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【一会】『乙嫁語り 8』……不器用娘に、春よ来い

 2月の7巻から10か月で刊行となりました『乙嫁語り』8巻。予想より少しだけ早く出たようです。19世紀中央アジア各地の民族の生活や乙嫁(美しいお嫁さん)について、物語的にも絵的にも丁寧に描かれた漫画です。  今巻の大半は2巻から登場しているパリヤのエピソードです……

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