100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 ギャグ 」 一覧

【一会】『魔法陣グルグル2 10』……魔王、交代。振り出しのジミナ村

魔法陣グルグル2(10) (ガンガンコミックスONLINE)

 テキトー感あふれる勇者の少年ニケと、気持ちが魔方陣の効果に反映される神秘の魔法「グルグル」を使う少女ククリの、再びの冒険を描いている『魔法陣グルグル2』。過日に続き、今年9月に出た最新10巻について、概要と読んだ思いを綴って参りましょう。

 なんだかヤバそうな技術「マキニカ」が魔王のものになるのを阻止すべく、その在処とされる秘境ズックニィはケムリの塔までやってきたニケたち。前巻ラストで最上階らしい扉を開くことに成功しました。その直後から、今巻のお話は始まります。

新・魔王の誕生

 扉の向こうには、果たして魔王の姿がありました。そして時すでに遅し、「マキニカ」は彼女の手にあったのです。
 魔王の示した「マキニカ」とは、ぱっと見はただの“中身の入った割れかけたカップ”。しかしそれは、技術の神テクネロが自らの“世界最初の失敗”を取り繕うため、世にもたらしてしまった力の象徴なのでした。魔王が云うところによれば、「なんの理屈もなんの技術もなーい/ただただ成立しているこの力」を用いれば、「どんな武器でも作りほーだい」だとか。そんな絵空事じみた、因果律無視の、チートな力に対し、魔技師であるトマは「ズルだ」と気色ばみますが、魔王は一笑に付します。これからは地道な「くふう」ではなく、やりたい放題の「闇くふう」の時代だ、というのです(ちなみにここで“ラッパ吹き”の誕生にもテクネロが関与していたことが明らかになりますが、なんとも残念な経緯に脱力します)。

(さらに…)

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【一会】『ダンジョン飯 4』……決戦の果て、癒やしのひと時と暗雲

 コンピューターRPGを思わせるダンジョンの中、その深層でドラゴンに喰われた仲間を救うため、生息するモンスターを調理して栄養補給しつつ冒険を進める一行を描いた『ダンジョン飯』。4巻が出たのも2月の話になってしまいましたが、改めてその概要と感想を記したいと思います。  ち……

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【一会】『魔法陣グルグル2 7』……そして魔王となったもの

 基本はファンタジー&メルヘンだけど、随所に滲む日本の観光地のお土産屋さん的な(良く云えばアットホーム、悪く云えば所帯じみた)雰囲気が特徴的なRPG的冒険譚の続編『魔法陣グルグル2』。1月末に7巻が出ました。初代から数えて3度目のアニメ化も決まったとのことで盛り上がる中、……

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【一会】『ダンジョン飯 3』……水棲系食材の宝庫で思う、迷宮の環境学

 コンピューターRPGの古典『ウィザードリィ』(wikipedia)を思わせる「狂乱の魔術師」によるダンジョンを舞台に、生息しているモンスターを捕食するという『ダンジョンマスター』(wikipedia)っぽい要素を組み込み、モンスター料理を味わいながらの探索行を描く、九井……

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第207夜 北の学府の、優雅な騒動は人獣共通…『動物のお医者さん』

「うちの大学を受けるのか/その顔は~~/理系!/ワタシにはキミの未来が見える/キミは将来~~/獣医になる!!/このカシオミニを賭けてもいい」「……」「キミが賭けるのはこの仔犬だ」 『動物のお医者さん』佐々木倫子 作、白泉社『花とゆめ』掲載(1987年12月~1993……

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【一会】『魔法陣グルグル2 5』……勇者さらわれる。乙女パーティ結成

 シロップと粉砂糖たっぷりのパンケーキにハーブティー、そこに何故か具がたっぷり入った豚汁というセットメニューをダンスフロアでいただくような、RPG風メルヘンチックアドベンチャー漫画『魔法陣グルグル2』。先日新刊の5巻が発売となりました。  幻のグルグルと云われる「か……

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【一会】『坂本ですが? 4(完)』……別れにパイを、ハンドサインに祈りを。

 完全無欠気味な高校1年生・坂本君のエレガントさと、それによる周囲の人々の改心や再起を描いたスタイリッシュ系人情ギャグ漫画『坂本ですが?』。およそ1年ぶりの刊行となった4巻で無事完結となりました。 (さらに…)……

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【一会】『せっかち伯爵と時間どろぼう 6(完)』……それは、歳々に還る魂のような

 終わるという噂通り、本当に新年最初の『マガジン』で完結した『せっかち伯爵と時間どろぼう』。最終巻となる6巻が発刊になりました。時計仕掛けの狂騒劇は、果たしてどんな結末を迎えたのでしょうか――。  前巻の途中から、いつもの時事ネタや下ネタの色合いは薄れて、入れ替わる……

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第196夜 世界を憂う躁状態に、笑って唖然…『エクセル・サーガ』

「出たな権力の手先!」「……いいけどよ」「ええと!/とりあえず名を名乗れっ」「個人情報は答えられないわ/市役所の方から来た者よ」「ほんに胡散臭いな/わしら」 『エクセル・サーガ』六道神士 作、少年画報社『ヤングキング アワーズ』掲載(1996年6月~2011年7月)……

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【一会】『せっかち伯爵と時間どろぼう 5』……始まりなのか、終わりなのか

 人類の60倍の速度で生き、しかし寿命はたった1年のために時間中に飛び飛びに存在するという人類の上位存在、上人類の生態を、物事の新解釈&パロディ&風刺ネタ満載で描くこの漫画(まあ、云ってしまえばネタの方が本体なのかもしれませんが…)『せっかち伯爵と時間どろぼう』。前巻から……

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