漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 民俗 」 一覧

【一会】『乙嫁語り 9』……同じ方を見ている2人

乙嫁語り 9巻<乙嫁語り> (ビームコミックス(ハルタ))

 昨年暮れに出た、中央アジア諸方お嫁ストーリー『乙嫁語り』の第9巻。だいぶ遅くなりましたが、つれづれ感想などを書きたいと思います。
 前巻に続きまして物語は、手先も態度も不器用系なパリヤのエピソードです。
 アミルの実家ハルガルの襲撃により家がほぼ全壊し、以来アミル達のところへ厄介になっているパリヤ達。嫁入りの準備である「布支度」として手間ひまかけて刺繍していた布類も失ってしまい、これを再度準備しないとお嫁に行けなと焦りがつのり、ついでにちょっとお転婆なところを婚約相手のウマルに見られてしまい、絶対嫌われた! と、例のマイナス思考で鬱々しているところに、いい感じのお嬢さんカモーラと友達になり、少し救われたパリヤ――というあたりまでが、前巻の内容だったと思います。

(さらに…)

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【一会】『双亡亭壊すべし 2』……〈双亡亭〉突入。そこで待つのは絶望か

 東京都内に建つ謎の建築物〈双亡亭〉をめぐり、絵本作家志望の青年、〈双亡亭〉に立ち入ってしまった少年、その姉で退魔の力を有する〈刀巫覡(かたなふげき)〉の少女、そして、時の彼方から還ってきた少年、といった人物たちによって紡がれる“おばけ屋敷”ホラー漫画『双亡亭壊すべし』。……

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【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 3』……その過去に、戦慄と涙

 戦後まもなくソ連に占領され、共産主義が台頭したパラレルな日本を舞台に、擬人化された猫たちによる遊侠活劇を描いた『猫瞽女―ネコゴゼ―』。盲目の女芸能者・瞽女(ごぜ)にして三味線に仕込んだ暗殺剣の達人でもある夜梅(ようめ)と、ロシア正教に由来すると思われる“機密”により対象……

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【一会】『双亡亭壊すべし 1』……何を憎み、何ゆえ破壊を願うのか

 『うしおととら』(100夜100漫第64夜)『からくりサーカス』(第27夜)『月光条例』(一画一会第26巻以降)など、藤田和日郎先生の作品には多く言及してきましたが、先月、新たな連載作品の1巻が刊行されました。ひと月ばかり遅くなりましたが、読んで思ったことを述べようと思……

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【一会】『乙嫁語り 8』……不器用娘に、春よ来い

 2月の7巻から10か月で刊行となりました『乙嫁語り』8巻。予想より少しだけ早く出たようです。19世紀中央アジア各地の民族の生活や乙嫁(美しいお嫁さん)について、物語的にも絵的にも丁寧に描かれた漫画です。  今巻の大半は2巻から登場しているパリヤのエピソードです……

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【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 2』……温泉地の勝負の行方はロシア式

 巫女に次いで猫耳という、ある意味で近年のヲタク界隈の要求を飲み込んだ上で、見事に渋み溢れる作品世界を描き出す宇河弘樹先生の『猫瞽女―ネコゴゼ―』第2巻が先日刊行されました。  描かれるのはパラレルな195X年。戦争に勝利したソ連によって支配され「日本自治ソビエト社会主……

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【一会】『蟲師 外譚集』……近く遠く、たゆたう話が五つ

 2度目のアニメ化もおおむね好評だった『蟲師』。漆原友紀先生による、虫のような植物のような原初的な生命のかたちをもった蟲と、人の営みを描いた漫画です。  この漫画に関連した作品集が先ごろ(4月下旬)出版されました。その名も『蟲師 外譚集』。漆原先生ではなく、『蟲師』の世……

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【一会】『猫瞽女―ネコゴゼ― 1』……猫耳による哀愁の唄と寂びた言葉

 実は最近、猫を飼い始めたのだけど、家の環境に慣れてくれるまでなかなかに大変でした。そんな折この漫画が刊行されたので個人的なタイムリー感を抱いたりしております。『朝霧の巫女』(100夜100漫第56夜)の宇河弘樹先生による新作です。  現実とパラレルな、猫たちによる……

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【一会】『乙嫁語り 7』……湯気の中に見つけた無二の人

 6巻から1年と1か月という時間をおいて発刊された『乙嫁語り』7巻。今巻では前巻の「あとがきちゃんちゃらマンガ」での予告通り、フィールドワーカーのスミスさんとその案内人アリが登場します。  とは云っても、冒頭で出てくるのは、まだあどけなさが残る、さっぱり美人アニス。……

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第191夜 逆巻く風雪は、ふたりのために…『千年万年りんごの子

「留まる力と/変わる力/それでも/すべてのものは無慈悲に終わる/小さな切欠によって/朝日/君だけが確かだ」 『千年万年りんごの子』田中相 作、講談社『ITAN』掲載(2011年12月~2014年2月)  1970(昭和45)年。一組の夫婦が誕生した。  東京の大……

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