100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 家族 」 一覧

【一会】『プリンセスメゾン 6』(完)……そして今日も暮らしが始まる

プリンセスメゾン(6) (ビッグコミックス)

 居酒屋勤務で年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)のマンション購入の顛末を描きながら、彼女と関係が有ったり無かったりする人々(主に女性たち)の、暮らしと住まいと孤独を描いた漫画『プリンセスメゾン』。

 最終巻となる2019年の1月刊行の6巻を読みました。その感想などを世界最遅と思われる今、語りたいと思います。

伊達家の人々

 今巻の冒頭から描かれているのは、持井動産のリーダー格で幸の物件探しも全面バックアップしてくれた、伊達さんの実家の様子です。昨年の年末年始は実家に戻らなかった(3巻参照)彼ですが、そのときの宣言通り、今年は帰ったようですね。

 物語の開始当初こそ、ずいぶんとドライに見えた伊達さんでしたが(1巻を読み直して驚きました)、実家の人々との関わり方はとてもウェット。振り返ってみれば、ボートに乗れないところなど、意外と感情が表に出る人物だったようにも思います。

 そんな彼の実家ですが、団地の一角にありました。普段は彼のお母さんが一人暮らしをしており、そこに子ども達が集まるのが伊達家のお正月のよう。伊達さんには上に2人のお姉さんがいるようですが、なかなか大変な人たちみたいです。
(さらに…)

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【一会】『乙嫁語り 10』……それぞれ人生の使い方

 年上のお嫁さんアミルと、まだ少年と云った方が近い風情の夫カルルク。2人と家族たちの生活から始まり、19世紀の中央アジア諸方の結婚と夫婦を描く『乙嫁語り』。先日11巻が刊行されましたが、先に2月刊行の10巻について書きたいと思います。  前巻のあとがき漫画での予……

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【一会】『Spotted Flower 3』……“汚れた大人”になった夜

 作者の有名作『げんしけん』(100夜100漫第3夜)で見覚えがあるような、二次元ヲタクな夫と一般人で夫ラブな妻。2人を中心とした“日常&妊娠→出産ストーリー”のような体で綴られてきたこの漫画『Spotted Flower』。  予想よりも全然はやく3巻が出たのも、もう……

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【一会】『いぬやしき 10(完)』……老いたる元・霊長類の生命への賛歌

 ふとした切っ掛けで(といっても、いま思えばそれも何か1つの運命だったのかもしれませんが)、人知を超えたアンドロイドとなった老人と青年。それからの、相反するかのような2人の生き様を提示してきた奥浩哉氏『いぬやしき』の、最終巻となった10巻を読みました。  今巻の刊行は昨……

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【一会】『双亡亭壊すべし 6』……命を振り絞るということ

 呪わしいおばけ屋敷に対抗する人間たちの知恵と能力を結集した、亡者VS生者の物語と思いきや、屋敷に干渉する宇宙の彼方からの意思が明らかとなり、にわかにSFチックホラーアクションの色を帯びてきた『双亡亭壊すべし』。先日に引き続いて、昨年10月刊行の6巻について書きたいと思い……

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【一会】『いぬやしき 9』……束の間の平穏、そして迫る大災厄

 普通の人間だった初老男性と男子高校生が、異星人が起こしたアクシデントによって高性能のアンドロイド化。それぞれ極に振れた2人を対比し、人智を超えた能力を誇る機械となった男子高校生・獅子神皓(ししがみ・ひろ)の暴走を食い止めようとする初老男性・犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろ……

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【一会】『月影ベイベ 9(完)』……一切は、楽の音と共に流れていきます

 毎年9月初頭に行われる富山市八尾の風習「おわら風の盆」までの季節を舞台に、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)を始めとした「おわら」に親しむ高校生たちと、それを見守る光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)を始めとした大人たちの群像も描いた……

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【一会】『いぬやしき 8』……意識不在の決戦

 普通の人間だった初老男性と男子高校生が、異星人が起こしたアクシデントによって高性能のアンドロイド化。一方は人を救い、一方は人を殺すという両極に振れた彼らの対比と対決を描く『いぬやしき』の8巻が、1月に刊行されました。色々あって4か月も経ってしまいましたが、その概要と感想……

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【一会】『アルテ 6』……まずは自分の場所で

 ルネサンス末期の16世紀。その古典文化復興の中心地となったイタリアの、男社会な絵画界に、ひとり飛び込んだ貴族の娘アルテを描く絵画修行漫画『アルテ』。1月に6巻が刊行となりました。読んで思ったことを書きたいと思います。  師匠レオのアトリエに住み込んで研鑽を積んでい……

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【一会】『月影ベイベ 8』……母への想いと告白の舞

>  富山県富山市八尾に伝わる、越中おわら節に乗せて人々が舞う祭「おわら 風の盆」。その「おわら」をモチーフに、高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父にあたる佐伯円(――・まどか)らの関係を描く『月影べイベ』。8巻が出たのも昨年の話に……

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