漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 黒い 」 一覧

第160夜 少女の帰還を導くのは、凄惨な楽園の幻視…『クーの世界

「今日もまた/クーの世界で目覚めるんだろうなあ/どうせ夢がつづくなら/ずっとクーの村で暮らしたいなあ/家捜しの旅なんて無駄だよって/夢の中の私に言ってあげられたら……」


クーの世界

『クーの世界』小田ひで次 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(1999年11月~2000年11月)

 まもなく中学生になる少女、林麗寧(はやし・れねい)は2歳の時に父を亡くし、最愛の兄も亡くしてまだ半年あまり。鬱屈とした気持ちを抱えて過ごしていた。そのためか、浮世離れした幼馴染の雨森亮太(あまもり・りょうた)に対しても、ついぶっきらぼうな態度になってしまう。
 そして、いよいよ入学式を明日にひかえた夜、麗寧は、異様な夢をみる。そこは、見たこともない不思議な生き物ばかりの牧歌的な世界。そして、死んだ兄に瓜二つのクーと、亮太にそっくりのキョムが暮らす世界だった。
 しかも、その翌夜も、その夢の“続き”をみたことに驚く麗寧。この「つづき夢」の中で、自分の家を捜すべく、麗寧はクーとキョムとで旅に出ることになる。
 不思議な道連れを加えながら旅は続き、麗寧はこれが夢なのか否か判然としなくなっていく。クーの世界とは何なのか。兄と幼馴染にそっくりな2人の意味は? 謎を孕みながら、中学へ通う世界とクーの世界は絡まりあい、生と死、過去と現在、自らの光と影が麗寧に去来する−−。

(さらに…)

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第158夜 狂わざれば、その時代を生きること能わず…『シグルイ

「士(さむらい)の命は/士の命ならず/主君のもの/なれば/主君のために死場所を得ることこそ/武門の誉れ/封建社会の完成形は/少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」 『シグルイ』南條範夫 原作、山口貴由 作画、秋田書店『月刊チャンピオンRED』掲載……

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第156夜 コピーに始まり終わる日々…『星のポン子と豆腐屋れい子

 2014/03/04  100夜100漫, , ,

「銀河のあちこちで食べ歩きしてきた私が保証します/あの卵焼きはハヒセに次ぐ美味ですわ/絶対に売れます!!」「うーーん/このままじゃ何も変わらねェしなあ」「やってみようよ!」「ねえ/うちの卵焼きよりおいしい/−−ハヒセって何?」 『星のポン子と豆腐屋れい子』小原慎司 ……

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【一会】『せっかち伯爵と時間どろぼう 1』……変わらぬ安定感と、既にある不穏

 帯には「待望した!」と大書されている、『さよなら絶望先生』(100夜100漫第36夜)で知られた久米田康治先生の最新刊です。  先に作風の話をすると、「不労腐死」とか「9金以下の純度のものだけ買い取り」とか拷問とか臓物とか、言葉遊びから風刺的な内容でギャグを展開し、し……

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第147夜 ぐちゃぐちゃな、自意識と外界の間で…『空が灰色だから

「物心も付いてない頃/家族で出かけた遠い町 太陽光を浴び黄金色に燃えていた麦畑に今度は私が連れていくから/火が鎮まるまでお話しよう/その後は一緒に流れ星を探そう/古旅館の頼りない窓を優しく開けてせーので見上げた夜空には/星なんてひとつもなくて」 『空が灰色だから』阿……

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第136夜 エイリアンたちと、黒く楽しく異文化交流…『レベルE

「現在 地球には数百種類の異星人が飛来している/気づいていないのは地球人だけなのだ/彼らの目的は様々で 国家レベルの策略から個人レベルの研究・犯罪まで多岐にわたる/なかには/何のために地球に来たか忘れてしまった奴も いるだろう」 『レベルE』富樫義博 作、集英社『週……

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第132夜 謎と人を愛す、食いしん坊ふたり…『魔人探偵脳噛ネウロ

「…………ねぇネウロ」「何だ」「難しいね/人間って」「フハハハハ/何を突然我が輩のようなセリフを」 『魔人探偵脳噛ネウロ』松井優征 作、集英社『週刊少年ジャンプ』掲載(2005年2月~2009年4月)  女子高生、桂木弥子(かつらぎ・やこ)の日常は突如壊された。父……

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第105夜 開かれた瞳に映る世界は、本質か、かりそめか…『魔女

「あなたにも きっとみえるはずよ。/わたし達は皆……/“彼女たち”の眷族なのだから。/あなた自身のからだで/世界を確かめていきなさい。」 『魔女』五十嵐大介 作、小学館『月刊IKKI』掲載(2003年4月~2004年11月)   彼女たちはどこにでもいる。文明と歴……

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第94夜 陰惨な謎に挑むのは1人?2人?…『人形草子あやつり左近

「人形遣いは人間遣い/腹話術は読心術/真似るのは声色だけでなく内なる声」 『人形草子あやつり左近』写楽麿 原作、小畑健 漫画、集英社『週刊少年ジャンプ増刊』→『週刊少年ジャンプ』掲載(1995年4月[読切掲載]~1996年4月)  引っ込み思案で気弱な性格の橘左近……

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第92夜 優しさ、ゆえに精神を壊す…『MIND ASSASSIN

「この平和な時代で/ボクの力が本来の意味で使われることは もうないと思ってた……/でも それは…自分が勝手にそう望んでいただけなのかもしれない…」 『MIND ASSASSIN』かずはじめ 作、集英社『週刊少年ジャンプ』→『週刊少年ジャンプ増刊号』→『月刊少年ジャン……

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