仕事 | 漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫-5ページ

漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 仕事 」 一覧



第106夜 湯を介し、癒しで繋がる彼方と此方…『テルマエ・ロマエ

「浴場の中で心安らげるかどうかは/共に浸っている人間にかかる部分が大きい…/湯に対して全身全霊を捧げる平たい顔族は/一緒に風呂に入るのに最高の人種ではないか!?」


テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

『テルマエ・ロマエ』ヤマザキマリ 作、エンターブレイン『月刊コミックビーム』掲載(2008年1月~2013年3月)

 西暦130年周辺、古代ローマはハドリアヌス帝の時代だった。軍事よりも、内政や哲学、ことに建築に関心と才能を有したこの皇帝の治世による都ローマで、浴場専門の設計技師、ルシウス・モデストゥスはふて腐れていた。新進的な時勢を必ずしもよしとしない彼の設計思想は受け入れられず、事務所と喧嘩別れして失業状態になってしまったのだ。
 鬱々としたまま友人と公衆浴場に入ったルシウスは、ふとしたことから浴槽の内壁に空いた穴を見つけ、足をとられて吸い込まれてしまう。湯から顔を出すと、そこは現代日本の銭湯だった。ローマ人のルシウスから見れば“平たい顔”をした民族の、奇妙でありながらも超進歩的な技術と様式を備えた浴場にルシウスは感銘を受け、そのエッセンスを何とかローマに持ち帰ることに成功する。
 以来、難題にぶつかるたび、何かに導かれるようにローマの浴場から“平たい顔族”の浴場(家庭の浴室・銭湯・温泉・ショールームなど)へと転移し、新たなインスピレーションを得ていくルシウス。そうした仕事に対する評価は上がり、私生活では挫折も味わいつつも、皇帝からも重用されるようになっていく。
 度重なる“平たい顔族”の世界への転移の中、ルシウスは古代ラテン語を解する才媛、小達さつき(おだて・さつき)と出会う。その出会いが、ローマ帝国とルシウスの人生を変える転機であることに、その時の彼はまだ気付いていなかった――。

(さらに…)



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第85夜 甘口な、けれど薄荷も効いた日々…『ハチミツとクローバー

「うまくいかなかった恋に意味はあるのかって/消えていってしまうものは無かったものと同じなのかって――」 『ハチミツとクローバー』羽海野チカ 作、宝島社『CUTiEcomic』→集英社『ヤングユー』→『コーラス』掲載(2000年6月~2006年7月)  美大生の竹本……

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第66夜 裏世界に咲き誇る、逸脱者たちの毒花…『職業・殺し屋。

「ああ…なんて卑しい仕事なんだ…」 『職業・殺し屋。』西川秀明 作、白泉社『ヤングアニマル嵐』→『ヤングアニマル』掲載(2001年8月~2010年1月)  インターネットの奥底に存在するアングラサイト「職業・殺し屋。」。そこでは、依頼者が提示した金額から値段を下げ……

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第62夜 彼方に挑む者達と、一切をただ抱擁する者達…『プラネテス

「そのオッサンはな/地球(おか)の上で満足できる人じゃねェんだよ/オレにはわかる」「独りで生きて/死んで/なんで満足できるんですか/バカみたいよ/宇宙は独りじゃ広すぎるのに」 『プラネテス』幸村誠 作、講談社『モーニング』掲載(1999年1月~2004年1月)  ……

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第55夜 控え目な瞳が映す、国際都市の温もりと傷跡…『神戸在住

「――神戸より。」 『神戸在住』木村紺 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(1998年9月~2006年3月)  辰木桂(たつき・かつら)は神戸の大学に通う美術科生。父の仕事の都合で東京から引っ越してきた、昔の洋楽と文庫本を愛する真面目で小柄な女の子だ。  大学の……

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第45夜 新鋭機と“お役所的仕事”の流儀…『機動警察パトレイバー

「よくみとくといいや。/志望がかなえばこいつに命預けることになる。」「じゃ……じゃあこれが……/新型の警察用レイバー!?/こ…これは…/趣味の世界だねえ……」「とかいいながらわりと気に入ってるだろ。」 『機動警察パトレイバー』ゆうきまさみ 作、小学館『週刊少年サンデ……

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第44夜 恋と夢と。彼らが選んだのは…『部屋(うち)へおいでよ

「ねェ……/これから……/いっしょに…/観よっか…/部屋(うち)においでよ…」 『部屋においでよ』原秀則 作、小学館『週刊ヤングサンデー』掲載(1990年月~1994年月)  東京、阿佐ヶ谷のとあるパブ。ピアノを弾く水沢文(みずさわ・あや)と、客なのに店の手伝いを……

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第41夜 豪華で特濃。中華をめぐる仁義なき戦い…『鉄鍋のジャン!

「料理は勝負だ! 勝てばいいんだ!! 」 『鉄鍋のジャン!』西条真二 作、秋田書店『週刊少年チャンピオン』掲載(1994年12月~2000年3月)  国内最高峰といわれる東京銀座の五番町飯店に、謎の挑戦者がやってきた。飯店のものよりも美味しい炒飯を手際よく作った、……

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第40夜 神職だって、お金は欲しいし恋もしたい…『神社のススメ

「神社は宗教だがビジネスなんです/そしてアミューズメントだ」 『神社のススメ』田中ユキ 作、講談社『月刊アフタヌーン』掲載(2004年4月~2006年6月)  大神社の宮司の次男、里見信二郎(さとみ・しんじろう)。実家の神社は兄に任せ、自分は好きな舞を仕事にしよう……

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第38夜 杯を満たす葡萄の香に、人生の喜怒哀楽は映る…『ソムリエ

「本当に正しい組合せというのは/料理とワインの間ではなく/ワインとお客様の間にあるんじゃないかな」 『ソムリエ』城アラキ 原作、甲斐谷忍 漫画、堀賢一 監修、集英社『MANGAオールマン』掲載(1996年1月~1999年6月)  パリで暮らす日本人、佐竹城(さたけ……



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