大人 | 漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫-5ページ

漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 大人 」 一覧



第182夜 構えたそれは、自他の纜(ともづな)…『BAMBOO BLADE

「コジロー先生」「キリノ」「だったらこれから実績をつくればいいじゃないですか」「これから……?」「そーです! この剣道部をもっともっと強くして――/全国大会に出場させるんですよ!!/誰もが認める結果を残せば/誰も何も言えなくなりますよ!!」


BAMBOO BLADE 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

『BAMBOO BLADE』土塚理弘 原作、五十嵐あぐり 作画、スクウェア・エニックス『ヤングガンガン』掲載(2004年12月~2010年9月)

 私立室江(むろえ)高等学校の剣道部顧問を勤める「コジロー」こと石田虎侍(いしだ・とらじ)。学生時代は大会優勝の経験もある剣道の手練れだが、ここのところは愛車のローンもあり、食うや食わずの生活を送っていた。
 ある日、高校時代の先輩にして同じように高校生の剣道を指導している石橋賢三郎(いしばし・けんざぶろう)から、虎侍はある提案を受ける。賢三郎が指導している町戸(まちど)高校剣道部女子と室江高とで練習試合をしないかというのだ。
 大人としてかなりダメな条件に惹かれ虎侍は承諾するが、肝心の女子部員はほとんどが引退、あるいは幽霊部員と化しており、いま現在活動しているのは、2年生で部長の千葉紀梨乃(ちば・きりの)ただ1人。そんな紀梨乃にムリヤリ発破をかけ、虎侍は部員集めに奔走する。
 やがて集まったのは、剣道道場の娘で小柄ながら超高校級の腕前を誇る特撮ヒーロー好きな無表情少女、川添珠姫(かわぞえ・たまき)、男子新入部員の栄花段十朗(えいが・だんじゅうろう)の彼女で、お嬢様然としつつも不穏な空気を隠し持つミヤミヤこと宮崎都(みやざき・みやこ)、勝気だけどナイーブ&移り気な性格でギターや文学にうつつを抜かして幽霊部員状態だった紀梨乃の幼馴染、桑原鞘子(くわはら・さやこ)、中学時代から剣道部に所属しながら、とある理由で高校では二の足を踏んでいた東聡莉(あずま ・さとり)に紀梨乃を加えた計5人。
 町戸高との練習試合や小さな大会にインターハイと、いくつもの試合を重ね、それぞれに成長していく部員たち。そして、ひょんなことから始まったテレビ取材を発端に、高校2年の榊心(さかき・うら)たち全国レベルの女剣士や人気アイドルたちとも交流することになっていく。
 交錯した事情と熱情を抱えるウラたちの剣を目の当たりにした時、室江高剣道部女子の面々の、剣道をする理由が見つからなかった珠姫の、そして“大人の強さ”を求めた虎侍の心に去来するものは何か――。

(さらに…)



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第181夜 人生の何気ない1コマに微笑せよ…『雲の上のキスケさん

「いつもなら目にもとめないチラシの ありふれた一行が/今夜は あたしたちの胸を打つ/“出会いがすべて”/「会えてよかったね」/他に言葉がみつからない/そんな夜」 『雲の上のキスケさん』鴨居まさね 作、集英社『ヤングユー』掲載(1997年年5月~2003年12月) ……

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【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?

 気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である本巻が刊行となりました。  事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりましたが、冒頭こそそ……

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【一会】『Spotted Flower 1』……ヘタレヲタ夫とカタギ強気妻の「そんな未来」

 刊行からだいぶ経って(1か月ちょっと?)しまいましたが、自分的にはつい先日やっと読んだのでここに書きます。  木尾士目先生と云えば、やはり『げんしけん』(100夜100漫第3夜)が有名ですが、その後の『ぢごぷり』での、育児についてかなり鬱々とした描写も印象深いです。『……

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第176夜 夢現と血まみれの刃の向こう、優しさの咲く…『竹光侍

「要するに、今の某(それがし)に刀は無用。」「大事な子を一人忘れておいでだよ、お前様」「ん……/見慣れぬ子だな……」「覗いてごらんな、ふふふふふ…」 『竹光侍』永福一成 原作、松本大洋 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(2006年8月~2010年3月) ……

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【一会】『月影ベイベ 3』……大人の感傷と若者の幻滅

 1巻以来、楽しみに読んでいますが、ここで言及するのは初めてです。現状では月影にもbabyにもあまり関係がありませんが、それは作者の前作『坂道のアポロン』(100夜100漫第138夜)でもそうで、それでも全編語られ終わった時にはほんのりと意味が薫るという名付けられ方なので……

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【一会】『白暮のクロニクル 2』……“オキナガ”たちの日常的な悔恨

 早いものでもう2巻が出ました(出たのはGW前の4/30ですが)。とはいえ1巻から3か月経ってますので、週刊連載としては普通のペースですかね。  さて、今巻で描かれた要素は、羊殺しの犯人は誰か…という話は置いておいて、大きく云うと2つかと。不死である“オキナガ”な人々の……

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第174夜 現代に咲く古式ゆかしい心地よさ…『チマちゃんの和箪笥

「名前って……/私は和久井朝子ですが」「じゃあよく聞いて/朝子さん/朝子さんが この道を望んでるんじゃなくて/朝子さんの中の童(わらべ)が この道を望んでるの/その童が入部したのよ/敬意をはらって命名させてもらったわ」 『チマちゃんの和箪笥』佐野未央子 作、集英社『……

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第167夜 誰もが旅人で、だから帰る処が必要だ…『ホテルポパン

「客室は10/でも1日に予約をいれるのは8組まで/夫婦かカップル/女性同士のみ/そんなんでもやっていけた時代の話だ」 『ホテルポパン』有間しのぶ作、竹書房『まんがくらぶ』掲載2003年12月~2008年11月)+書き下ろし  スキー客すら寄り付かない山奥に建つ小さ……

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第166夜 ひと皿ひと皿に込められた、“本当の私”…『寿司ガール

「寿司ごときに私の生き方が変えられるなんて/認めたくないけどね!!」 『寿司ガール』安田弘之 作、新潮社『月刊コミック@バンチ』掲載(2011年1月~2012年5月)  深夜の回転寿司で、ふと入った寿司屋で、行きつけの店のカウンターで。それぞれの人生を抱えつつも、……



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