漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

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「 大人 」 一覧

【一会】『いぬやしき 2』……孤独と恍惚を抱え、戦う機能をイメージする

いぬやしき(2) (イブニングKC)

 刊行からはや1か月弱ということで、かなり出遅れた感がしますが、一くさり語ります。
 会社でも家庭でも肩身の狭い、歳よりもかなり老けて見られる犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)58歳が、ふとしたアクシデントによって、自分の記憶や意識を保ったまま強力な武装を持ったアンドロイドになってしまった、というのが物語の冒頭。既に人間ではなくなってしまったという絶望を味わいながらも、暴力にさいなまれる人の命を救った時、自分が人間として「生きてる感じ」を感じられたことから、引き続き今まで通りの生活を送りつつ、人の命を救おうと決意するところまでが1巻のお話でした。

(さらに…)

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【一会】『謎のあの店 2』……追憶を、苦味と旨味にのせて

 作者が日常生活から掘り出した“入ってみたかったけど勇気とか縁とかがなくて入れなかったお店”に思い切って入店し、ごく主観的な記憶を交えつつ紹介するこの漫画。作者さんを知ったのは実は旅行雑誌の『旅の手帖』の1ページ漫画「今月のかけ湯くん」だったりするんですが、それはともかく……

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【一会】『シャーリー 2』……きっと沢山ある日々のうちの8片

 2003年に、まだ「1巻」という明記すらなく、初期作品集の趣きに近い1冊として刊行された『シャーリー』を、実は『エマ』(100夜100漫第60夜)よりも先に読んだ自分ですが、11年の時を経て2巻の刊行が成るとは想像していませんでした。もっとも『Fellows!』(のちに……

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【一会】『白暮のクロニクル 3』……死せぬ者の祈りにも似た、土地への思い

 前巻からやはり3か月で刊行となった『白暮のクロニクル』第3巻。今巻は、日付の入ったやや唐突な導入から。その夜、岐阜県矢尻沢(やじりさわ)集落で、ある終結を見た事件の発端へと、話は遡ります。  全国で“オキナガ”の失踪(というか転出届を出さない引越し?)が続出し、主人公……

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第182夜 構えたそれは、自他の纜(ともづな)…『BAMBOO BLADE

「コジロー先生」「キリノ」「だったらこれから実績をつくればいいじゃないですか」「これから……?」「そーです! この剣道部をもっともっと強くして――/全国大会に出場させるんですよ!!/誰もが認める結果を残せば/誰も何も言えなくなりますよ!!」 『BAMBOO BLAD……

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第181夜 人生の何気ない1コマに微笑せよ…『雲の上のキスケさん

「いつもなら目にもとめないチラシの ありふれた一行が/今夜は あたしたちの胸を打つ/“出会いがすべて”/「会えてよかったね」/他に言葉がみつからない/そんな夜」 『雲の上のキスケさん』鴨居まさね 作、集英社『ヤングユー』掲載(1997年年5月~2003年12月) ……

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【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?

 気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である本巻が刊行となりました。  事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりましたが、冒頭こそそ……

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【一会】『Spotted Flower 1』……ヘタレヲタ夫とカタギ強気妻の「そんな未来」

 刊行からだいぶ経って(1か月ちょっと?)しまいましたが、自分的にはつい先日やっと読んだのでここに書きます。  木尾士目先生と云えば、やはり『げんしけん』(100夜100漫第3夜)が有名ですが、その後の『ぢごぷり』での、育児についてかなり鬱々とした描写も印象深いです。『……

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第176夜 夢現と血まみれの刃の向こう、優しさの咲く…『竹光侍

「要するに、今の某(それがし)に刀は無用。」「大事な子を一人忘れておいでだよ、お前様」「ん……/見慣れぬ子だな……」「覗いてごらんな、ふふふふふ…」 『竹光侍』永福一成 原作、松本大洋 作、小学館『ビッグコミックスピリッツ』掲載(2006年8月~2010年3月) ……

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【一会】『月影ベイベ 3』……大人の感傷と若者の幻滅

 1巻以来、楽しみに読んでいますが、ここで言及するのは初めてです。現状では月影にもbabyにもあまり関係がありませんが、それは作者の前作『坂道のアポロン』(100夜100漫第138夜)でもそうで、それでも全編語られ終わった時にはほんのりと意味が薫るという名付けられ方なので……

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