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【一会】『七つの大罪 16』……自ら失策を選ぶ強さ

      2016/02/27

DVD付き 七つの大罪(16)限定版 (講談社キャラクターズA)

 ご無沙汰してしまいました。発刊から1か月以上経ちましたが、『七つの大罪』16巻について書くと致しましょう。今巻も限定版にはオリジナルのDVDが付属しています(今回はギャグタッチみたいです)。
 今巻のポイントは、大きく分けて2つでしょう。ドレファスとヘンドリクセンの過去(あるいは全ての発端)と、ディアンヌの故郷である巨人族の里メガドーザのエピソードです。

 人間たちを“駆除”しつつ魔力の足しにし始める〈十戒〉の面々の場面から、今巻は開幕します。ドレファスとヘンドリクセンの真相を探るために旅立ったギルサンダー、グリアモール、ハウザーの若手聖騎士3人が、そうした“人間駆除”の場を目の当たりにし、魔神と戦闘開始。そこで彼らの助太刀に現れたのは、かつて国を脅かす強敵として立ちはだかった元聖騎士長ヘンドリクセンでした。
 以前の「腐敗(アシッド)」とは全く異質の魔力「浄化(パージ)」を用いた彼の口から語られたのは、かつての聖騎士長にしてギルサンダーの父ザラトラスと自らの出自でもある、「森の賢者」の賢者と呼ばれ女神族を信仰するドルイドのこと、そして10年前に自分とドレファスが遭遇した全ての発端についてでした。
 謎の大厄災で滅んだ亡国ダナフォールの大穴の奥深くで2人に語り掛けてきたのは、魔神フラウドリン。ダナフォールの聖騎士団長だったメリオダスにとっても最愛のリズを殺されている因縁の魔神です。
 ドレファスはヘンドリクセンを思うがゆえにフラウドリンが出してきた条件に乗ってしまうのですが、このことは大きな視点でみれば失策でしょう。けれども友を見捨てればそれは聖騎士の信条にもとることになります。そういう嫌な選択を迫るあたり、フラウドリンの狡猾さが垣間見えるようです。

 一方、前巻終盤では、〈十戒〉の1人“真実”のガランとの戦いで複数の死傷者が出たかに見えたメリオダスたちですが、ゴウセルの機転によって辛くも全員生存していた様子。とはいえ、ガランの力によりマーリンは石化してしまい、神器“明星アルダン”に魂だけを移してどうにか意思疎通ができるという状態だし、各人の傷も浅くはないようで、〈十戒〉との初戦はメリオダス達の完敗といっていいでしょう。
 〈十戒〉に対抗するためには、〈七つの大罪〉や聖騎士たちの力量の底上げだけでなく、アーサーやエリザベスの潜在能力を引き出すことが必須になるようです。
 それに、ずっと忘れていましたが〈七つの大罪〉はまだ全員が揃っていませんでした。最後の1人〈傲慢の罪(ライオン・シン)〉エスカノールの名前が改めて挙げられます。手配書では眼光鋭い老齢の男性のようですが、他の団員の例もありますし、この通りの姿で登場するとは限らないでしょう。マーリンの口ぶりからすると、単純に強いという以外にも何らかの特殊能力がありそうな感じなのも、気になるところ。登場が待たれます。

 対〈十戒〉のための課題は明らかになりはしましたが、〈嫉妬の罪(サーペント・シン)〉ディアンヌの記憶が消えつつあることが分かり、飛び出していった彼女を追って一同は巨人族の里メガドーザへと向かうことになります。記憶喪失の原因はまたしてもゴウセル(ギーラの時も彼が記憶を操作していました)。その興味本位ぶりにキングが怒るのは無理からぬことでしょう。
 人の感情が不思議でしょうがない様子のゴウセルですが、そのうち理解する時が来るのでしょうか。とりあえず、今のところはお姉口調な暁闇の咆哮(ドーン・ロアー)のスレイダーが世話を焼いてくれているようです…。

 逃げ出したディアンヌが向かったのは、やはり故郷のメガドーザ。ここで、この地とディアンヌの過去についての番外編「少女は叶わぬ夢を見る」が挿入されています。
 修業時代のディアンヌと友達のドロレス、彼女達を鍛えんとする女戦士長〈大地の牙〉マトローナの3者を主要人物に据え、戦いこそが本分とするマトローナたち里の巨人と、戦いを嫌うドロレスおよびディアンヌとの対立、ディアンヌとメリオダスの出会い、そして彼女が〈嫉妬の罪〉を戴くこととなった経緯を描いたエピソードです。ディアンヌの悲劇はもちろんですが、武人であるがためにディアンヌに対して不器用な言動しかできないマトローナも、自分としては印象的でした。
 全ての発端となってしまったドレファスも、ディアンヌの“罪”の引き金となってしまったマトローナも、結果的にはマイナスをもたらしたと云えます。ですが、その行為の出どころはどちらも友や教え子を大切に思う気持ちに他ならなかったでしょう。この漫画の「七つの大罪」というタイトル自体、既にアイロニカルなのだと思いますが、例え周囲に“罪”という烙印を押されようと、自分の意思に従って選択を為す強さというものを、作者は1つのテーマとして置いているのではないかな、などと思います。

 そんな過去を描きつつ、今巻ラストのエピソードでは現在に視点が戻ります。ガランの追撃を受けたディアンヌを助けたのは、そのマトローナのようですが、はたしてご本人でしょうか。
 そんな気になる点を残しつつ、物語は次巻へと続きます。17巻の刊行予定は10月16日。既にあと半月ほどに迫っています。限定版は「付箋ブックレット」とのこと。更なる衝撃が待っていそうな巻末の次巻予告に慄きつつ、楽しみに待ちたいと思います。 

 - 一画一会, 随意散漫 , ,

 

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