【一会】『坂本ですが? 3』……エレガント対卑劣 | 漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

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【一会】『坂本ですが? 3』……エレガント対卑劣

      2017/01/21

坂本ですが? 3 (ビームコミックス(ハルタ))

 やたらエレガントでクール過ぎる高校1年生、坂本(さかもと)君の華麗なる行状を描く謎のスタイリッシュ系ギャグ漫画『坂本ですが?』。満を持して3巻が刊行となりました。前巻は昨年11月の刊行だったので、1年ちょっとの間隔ということになります。
 今巻もまた、坂本はその洗練されたアクションと慈悲深い言葉で、小学生から同級生はおろか、レンタルビデオショップの店長に至るまで手玉に取り、やがて憧憬を抱かせたり改悛させたりの活躍ぶり。小気味いいエピソードが続きます。

 今巻でまず印象に残ったのは、坂本のクラスの学級委員長、藤田恵(ふじた・めぐみ)と心霊写真をめぐる、珍しくオカルトネタな一篇。完璧超人な坂本君に憧れる女子はもちろん多いですが、その誰もが好意を表だって云える訳もなく。そういう引っ込み思案な藤田さんと、心霊写真に写る霊の心情がリンクしつつ、最後の坂本アクションで一転あざやかな幕切れに。というか、藤田さんの相談に乗る久保田(くぼた)君がエクステのせいで例の“髪の伸びる人形”そっくりなんですが…。まあ、そこも見どころということで。

 男子高校生のペーソスがおかしくもほろ苦いレンタルビデオ屋での一篇を挟み、季節は秋。運動会のエピソードでも坂本の切れ味は相変わらずですが、ここではぽっちゃり系ナルシストの瀬良裕也(せら・ゆうや)を応援したくなります。
 1巻で改心させられつつも、今回は女子へのアピールを勝ち取るためにも再度坂本に挑む瀬良ですが、最後の最後で彼がとった行動には、覚悟が表れています。たった1人の女子の“思い出”を守るというその一点を、坂本への反感よりも優先させた彼は、それはそれでエレガント。やったこと自体は微妙ですけどね。そんな彼にもちょっといいことあったようで何より。

 しかし云ってしまえば、ここまではいつも通りの展開です。今巻ハイライトとなるのは、文化祭を舞台にした前後編と云えるでしょう。
 これまでも再三、不良グループと相対して返り討ち(?)にしてきた坂本ですが、これまでは相手がもっぱら直接的な手段を採ってきていました。が、今度は少し勝手が違う様子。
 文化祭の準備が進む中、遠大な計画で追い詰められていく坂本。卑劣な手段に彼のエレガンスは太刀打ちできるのでしょうか。
 これまでこの漫画は、基本的に1エピソード単位でゲストの人物が坂本に屈服あるいは心酔するか、もともと好意的な人物ならちょっと距離が縮まるか、という形式を踏襲してきています。これに対して今回は、その形式に嵌らないライバルの出現ということになるように思えます。

 対決するエレガントと卑劣の今後が気になりつつ、おまけ漫画でクールダウンして、物語は次巻に続きます。次巻の刊行も恐らく1年後くらいになると思われます。また寒い頃にお目にかかることを期待して、品位をもって待ちたいと思います。

 - 一画一会, 随意散漫 , , , ,

 

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