【一会】『進撃の巨人 18』……明かされた過去と胸中。そして決戦へ | 漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

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【一会】『進撃の巨人 18』……明かされた過去と胸中。そして決戦へ

      2015/12/24

進撃の巨人(18) (講談社コミックス)

 予告通りの刊行となった『進撃の巨人』18巻。今巻の限定版はサンタ服を着たエレンの“ねんぷち”です。季節を選びますが、机上のマスコットとしてはなかなか良いかと。
 本編の内容はといいますと、ヒストリアを中心とした政治劇から、再び壁と巨人をめぐる攻防に話が移ってきた感じでしょうか。前巻のラストで事情を知る者として名前が挙がった、キース・シャーディスの話を聞きに行く前半部分と、ついに開始されたウォール・マリア奪還作戦を描いた後半部分に区分できるかと思います。

 キース・シャーディスなる人物は、すでに本編中に登場しています。誰かといえば訓練兵時代のエレンたちを厳しく鍛えた禿頭の教官。彼こそがエルヴィンの先代に当たる第12代調査兵団団長キース・シャーディスでした。
 彼の語る「昔話」はエレン達に重要な情報を明かしてくれますが、それ以上に自分は、彼の高揚と失敗のエピソードそのものに共感してしまいました。「自分は特別」と考えることから、抜け出せる人はそう居ないと思います(そういえば「自分は特別」ということについては、前巻でエレンも吐露しています)。
 教官としては偏屈で現実主義っぽい印象だった彼ですが、実は人一倍「特別」への意思が強かったということでしょう。エレンの両親であるグリシャとカルラは、一方は背中を押す意味で、もう一方は好意と反感をない交ぜにした感情を向ける相手として、キースの人生を大きく変えたとも云えそうです。
 それにしても、やはり気になるのはエレンの父グリシャの素性かと。記憶喪失の状態で“壁”の外に佇んでいた彼が云わんとしていたことを突き止めるには、やはりエレンの家の地下室を調べるしかなさそうです。

 作戦を前に、夕食に久々の肉が振る舞われて変なテンションになった面々の、何だか懐かしいやり取りが繰り広げられた一夜を経て(サシャの表情はもう何か、巨人と云っても過言じゃない気がしました)、調査兵団はウォール・マリア最終奪還作戦を発動します。
 しばらく壁の内側の政治劇がクローズアップされていただけに、この作戦開始の場面は、“絶対的な力を持つ巨人に抗う”という物語当初の空気を、もういちど読者に刻み付けてくるシーンだと思います。随分と遠いところまで来た気がしますが、劇中の時間では超大型巨人との再会(=エレンたちの初陣)からまだ3か月しか経っていないとのこと。長い紆余曲折がありましたが、物語が本線に戻って来たと云ってもいいのかもしれません。

 しかし当然、すんなりと事が運ぶとは思えません。ウォール・マリア周辺にはベルトルドたち巨人の勢力が待ち構えているはずです。
 巨人化&硬質化を熟練したエレンの活躍と、ほぼ最年少参謀みたいな位置付けになりつつあるアルミンの明察により、まずは調査兵団側が一歩先んじた感はありますが、状況はお互いに退路を断った決戦の様相を呈してきています。片腕となりながらも不退転の決意で作戦に参加したエルヴィンも何やら秘策を残しているようですし、戦いは激しいものになるでしょう。

 といったところで今巻はお開き。例によって巻末の次巻嘘予告で適度に脱力しつつ、来年4月8日刊行予定の第19巻に続きます。本物の予告に出てくる「雷槍」とは何なのか、その辺りも予想しつつ、次巻を楽しみにしたいと思います。

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