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【一会】『七つの大罪 20』……迷宮の果てに集う、勇者・猛者・達人・強者

      2018/07/20

七つの大罪(20) (講談社コミックス)

 中世イングランド的な地・ブリタニアを舞台に、〈七つの大罪〉を始めとする聖騎士達と〈十戒〉を筆頭とする魔神族との、技と魔力の応酬が激化しつつある『七つの大罪』の20巻が刊行となりました。予告通り今月15日の刊行でしたが、ちょっと遅くなりつつ概要と感想を書きたいと思います。
 もはや恒例となった感のある限定版付録ですが、今巻はこの漫画のマスコット(というか残飯処理係?)の豚さん・ホークのフィギュアです。作中では「変身(トランスポーク)」の魔力を見出し、今後の戦いに重要な役割を果たしそうな変身能力を獲得した彼(?)ですが、フィギュアはいつもの可愛い姿です。体長4cm、幅2.5cm、体高4cmといったところでしょうか? 居間に置いておいたら、飼っている猫に早速おもちゃにされていましたけど…(なので、とりあえず机の上に居てもらうかと思います)。

 そんな感じで付録はほんわかしていますが、展開は緊張感が高まっていっています。カバー折り返しの鈴木先生の言葉によれば、物語は“折り返し地点”を回ったとのこと。そろそろ加速度的な盛り上がりを見せるところでしょうか。
 前巻ラストに引き続き、冒頭では、リオネス国王バルトラの実弟デンゼルが率いる〈蒼天の六連星〉と、聖騎士長ドレファスの身体に入っている魔神フラウドリンとの戦いの様子が描かれます。新たに〈十戒〉の一角、「不殺」のグレイロードの名が明らかになったり、ドレファスの底力によってほぼ全壊した彼らの研究棟がどうなったのかも気になるところではありますが、それも1話分。今巻は、〈十戒〉のうちの2人(?)が強者をおびき寄せんと画策するバイゼル大喧嘩祭りの様子がフォーカスされていきます(ちなみに表紙では〈傲慢の罪(ライオン・シン)〉のエスカノールが偉そうにしていますが、今回彼の出番はあまりなく、しかも活躍もしてませんね…)。
 とはいえ、いきなり本戦が始まるわけではありません。喧嘩祭りを主催する〈十戒〉の一員、可愛い顔ながら触手に包まれた姿で「~っス」口調の彼(?)によれば、本戦前の「ふるい」として、参加者は本戦の前に第一関門の「死の罠の迷宮」を突破しなければならないとのこと。この迷宮に集ってきた面々の様子が、並行して描かれていきます。

 そこには、子ども達の命を救うためにやってきた巨人族のマトローナと記憶を無くしたままの〈嫉妬の罪(サーペント・シン)〉ディアンヌのペア、エスカノールを探しつつ興味を抱いて立ち寄ったメリオダスたちの一団、そのエスカノールの仕事(酒場の店主としてお酒を納品)に付き合わされた〈強欲の罪(フォックス・シン)〉バンに〈怠惰の罪(グリズリー・シン)〉キング、エレイン、ジェリコたちといった、お馴染みの面々の姿があります。そしてまた、氷雪の魔術士風、暗殺騎士団、屈強な聖職者風、極東の剣士といったニューフェイス達の姿も見て取れます。
 合流したり単独だったりしつつ、彼らはそれぞれの戦い方で強力な怪物アースクローラーを倒し、迷宮を抜け、本戦の場へと向かいます。そんな群像劇の中で、印象的だったのははやり、団長メリオダスとバンとの再会でしょう。かつてのヘンドリクセンとの戦いの最中(12巻)にバンが団長に戦いを仕掛け、戦いの後にバンが出ていって以来、喧嘩別れのようになっていた2人ですが、ようやくまともに言葉を交わし、元通りの関係に還ったようです。
 愛した女性(エレイン)の命のためとはいえ、バンはメリオダスを殺そうとしたわけで、それを軽く流すメリオダスはあまりに軽すぎるようにも自分は思います。が、迷宮脱出のために久々にタッグを組んで力を振るう姿にはやはり、昂ぶるものを感じました。バンは料理上手ですし、腹を割って話して、またメリオダスの店のコックに就任して欲しいものです。

 そんな幾つかのエピソードが挿まれつつ、主催者の〈十戒〉たちの前に迷宮を抜けた面々が揃います。ここで「~っス」口調の〈十戒〉の正体が判明しますが、「霊槍バスキアス」を操る彼、「安息」のグロキシニアは、キングと浅からぬ因縁があるようです。もう一方の〈十戒〉は巨人族の始祖とされるドロールですし、こちらはディアンヌやマトローナと関わりがあるのは間違いないでしょう。
 ゴウセルの件もありますし、〈十戒〉というのは、魔神族を使役しながらも必ずしも自分たちは魔神族ではない(むしろそれ以外の方が多い?)ようです。この点、ほぼ全員が別の種族で構成される〈七つの大罪〉と比較してみるのも興味深いですね。

 かくして本戦参加者は揃い、〈七つの大罪〉も魔神族も、聖騎士も数多の戦士・魔術師も、巨人も聖女も王族も子どもも動物も、分け隔てなく組み分けがされ、タッグマッチの形で喧嘩祭りは幕開けです。その初戦はまさかの――と気になる引きを残し、今巻はこれにて終幕、続きは次巻へと持ち越されます。
 実に全16組による戦いは激しいものになると予想されます。どんな対決カードが待っているのか、また、それぞれの内外で交錯しているであろう各人の思惑はどうなっているのか。そんなことを考えながら、6月17日刊行の21巻を楽しみに待ちたいと思います。

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