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【一会】『魔法陣グルグル2 4』……「ウソ」と「ホント」で禍根の予感

      2018/07/20

魔法陣グルグル2 (4) (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

 今回も、前巻からきっちり8か月で4巻の刊行となりました『魔法陣グルグル2』。前巻でサビーナ山の「ともだちのダンジョン」を無事にクリアした勇者(?)ニケとグルグル使いククリたちの一行。しかし、ククリと同じミグミグ族である魔王によって、膨大な魔力を誇る魔神「月」は奪われ、夜は魔王の時間となってしまいました。
 「月」を取り返そうと誓ったニケとククリでしたが、とりあえずサビーナ村に戻ることに。今巻ではそこから始まり、伝説のグルグル「かみさまのもよう」を見たことがあるというミグミグ族を訪ねて向かったオーガスの町、そこでの依頼で訪れたセプの森、さらに手がかりを求めて辿り着いたノーベン山での出来事が描かれています。

魔法陣グルグル2(4) (ガンガンコミックスONLINE)

 「ともだちのダンジョン」で協力してもらったザザとミグはキタの町に帰ることに。おともだち帰還用グルグル「おともだちフォーエヴァー」で過激に帰宅ということになりました。なかなかクセになる体験の模様…。
 魔王に対抗する力をつけるため、ミグミグ族を探してやってきたオーガスの町で流行っていたのは、何故か「プチ呪い」。「あらかじめ軽い呪いを付けておけば/もっと重いイヤな呪いを回避することができるのです」とは村人の談です。
 何だか予防接種のようですが。ともかく、この町では呪われないと色々と不便そうなのでニケたちもプチ呪われてみることに。

魔法陣グルグル2(4) (ガンガンコミックスONLINE)

 プチ呪いとしてはオーソドックスらしい、ケモノ耳と尻尾のセットでコーディネイトしたククリ。耳の素材は“ひ○き”らしいですが、なかなか似合っているんじゃないでしょうか。
 「腹痛の呪いですか?」「バカ! 巻き貝の呪いだよ!」というニケと村人のやり取りに笑ったりしつつ、微妙に親魔王派が生まれつつあるオーガスの町でミグミグ族探しは続きます。
 ふと出会った吟遊詩人カミエによれば、「かみさまのもよう」は描くのに22年かかるものの、魔王はそれを一瞬で描けるとか。描くのに22年かかるグルグルは、もはや“子供部屋の魔法(ナースリー・マジック)”とは云えない代物ですが、それを一瞬で描けるというのは単純な実力以上に何か仕掛けがありそうですね。

 そして、ついに見つけたミグミグ族のソルガノ。有言実行な彼の言葉によって、新たな道が示されるのですが、それに先だって赴くことになったセプの森での出来事は、何気なく描かれているようで今後に影を落としそうな気がします。
 魔王がミグミグ族であるならば、ニケが指摘するように“ミグミグ族は誰でも魔王である可能性があり、疑ってかからなければならない”ということになります。何やらミステリ小説めいてきましたが、このことは、かつてミグミグ族最後の1人とされてきたククリにとって何気に残酷でしょう。そこに加えて、セプの森での戦いでニケのとった作戦は、ククリの心に何がしか響いたのではと思います。それも恐らくあまり良くない方向に、です。
 このエピソード(第24章)のタイトルは「あとから来るもの」。あとからニケはこの時のククリの気持ちを理解するようですが、さて、その時どんな状況になっているのでしょうか。

魔法陣グルグル2(4) (ガンガンコミックスONLINE)

 そういえば、今巻では弟子Bことデキルコもニケとククリに同行してくれています。“意味不明さ”を原動力として浮遊するトランクを使って飛ぶあたりシュールですが、なかなかの実力者かと。ちょっと不思議な性格がジュジュと被る感じもありますが(ジュジュよりもっと不思議系かも)、心強い味方であることは確かでしょう。

 どことなく不安を含みながら、一行は魔王の情報があると云われるノーベン山に向かいます。そこで邂逅したのは、数々のグルグルを作り出したというミグミグ族でも指折りの天才チカチカ。既に亡くなっているので正確には具象気体(魔力によるビデオレター的なものと云えば近いかな)ですが、空気を読まないモンスターが襲来してドタバタした流れの中で、後輩であるククリにメッセージを伝えます。「ワタクシが死んでもグルグルは残ります!」とか「生涯ムフフ♡」といったお言葉は、ククリ越しに読者の心にも沁みるように思いました。
 「かみさまのもよう」も彼女の手によるものらしいですが、既に焼き捨てられてしまったらしく。しかし、「かみさまのもよう」の跡地とでも云うべき場所がすぐ近くにありました。その名も“おもちゃの谷”。
 残された魔力の影響か、ファンシーな姿になってしまったニケやククリたちですが、元の姿に戻るには一仕事ありそうな予感。
 一方、またも魔王は不穏な言葉を紡ぎます。その姿は、今巻の最後の方に登場したニャー族の姿になんだか似ていますし、失伝した「かみさまのもよう」をどうやって手にし、一瞬で描けるのかという謎も残ります。かつての魔王ギリも得体の知れない存在でしたが、今回の魔王も情報が出れば出るほど正体が掴めなくなっている気がします。

 波乱の予感を残しつつ、今巻はここで幕です。次巻も8か月後と考えると来年2月ぐらいの刊行でしょうか。魔王の正体を色々と推理しつつ、次巻を待ちたいと思います。

※今回も版元さんがAmazonさんに“なか身”のデータも上げて下さっていたので、適宜使用させていただきました。

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