100夜100漫

漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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「 随意散漫 」 一覧

【一会】『3月のライオン 11』……対峙の果てと残された者の虚脱

3月のライオン 手帳&フリクションボールノック付き限定版 11 (ジェッツコミックス)

 17歳の少年プロ棋士、桐山零(きりやま・れい)の孤独な戦いと棋士の世界、そして、そんな零を家族のように受け入れる、あかり・ひなた・モモの3姉妹を中心とする川本家のドラマを描く『3月のライオン』。前巻から9か月ほどで11巻の刊行となりました。刊行からひと月ほど経ってしまいましたが、書いておきましょう。
 前巻の末尾で川本家の“父親”との対峙が描かれましたが、今巻ではその流れを引っ張りつつ、その対峙の終結だけでは一件落着とはいかない、川本家の微妙な様相を映していると云えそうです。

(さらに…)

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【一会】『白暮のクロニクル 6』……異質達はすれ違い、物語は加速する

 いわゆる吸血鬼的存在“オキナガ”と、それを管理する厚生労働省夜間衛生管理課(通称やえいかん)という構図を遠景に、夜衛管の新人・伏木あかり(ふせぎ・――)と、88歳の少年“オキナガ”雪村魁(ゆきむら・かい)のコンビがオキナガ絡みの事件を追っていく『白暮のクロニクル』。もう……

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【一会】『コトノバドライブ 2』……緩やかに拡がる彼女の世界

 ヒゲの店長(けっこう剃っちゃってますが)と2人でスパゲティ屋を切り盛りしつつ日々を暮らす、すーちゃんの日常に、1話あたり1つ、ほんの5分間の不思議を織り交ぜて綴られる小エピソード集『コトノバドライブ』の2巻が先月刊行されました。今巻はカラーページが無いのがちょっと残念で……

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【一会】『月影ベイベ 6』……大人の強さ、大人の弱さ

 富山県八尾の伝統舞踊“おわら”を遠景に、“おわら”の踊り手である高校生の佐伯光(さえき・ひかる)と峰岸蛍子(みねぎし・ほたるこ)、光の伯父である佐伯円(――・まどか)の三角関係を中心とした人間模様を描く『月影べイベ』も、先月6巻の発刊となりました。実際の富山市八尾町での……

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【一会】『孤独のグルメ 2』……18年ぶり。無邪気さと、変わらぬ自由さ

 個人で輸入雑貨を商う井之頭五郎(いのがしら・ごろう)が、主に都内の街で見知らぬ飲食店に入り、そこでの食事や湧き起こってくる想念を淡々と描き流す食事漫画『孤独のグルメ』(100夜100漫第63夜)。その第2巻が、実に18年の歳月を経て刊行されました。1996年までの連載で……

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【一会】『七つの大罪 16』……自ら失策を選ぶ強さ

 ご無沙汰してしまいました。発刊から1か月以上経ちましたが、『七つの大罪』16巻について書くと致しましょう。今巻も限定版にはオリジナルのDVDが付属しています(今回はギャグタッチみたいです)。  今巻のポイントは、大きく分けて2つでしょう。ドレファスとヘンドリクセン……

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【一会】『黒博物館 ゴーストアンドレディ 上下』……意思を貫く戦いと、絶望を望んで希望を成すということ

 「100夜100漫」カテゴリにしようか迷いましたが、シリーズとしては続きがありそうなので「一会」にて書くことにします。藤田和日郎先生の新刊(といっても刊行からだいぶ経ってしまいましたが)『黒博物館 ゴーストアンドレディ』です。 あらすじ  大英帝国で捜査されたす……

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【一会】『進撃の巨人 17』……女王の誕生がもたらすもの

 予告通り刊行された『進撃の巨人』17巻。今巻の内容としては、エレン救出とヒストリア(クリスタ)の戴冠、それによって変化する壁の内の政治と、巨人をめぐる新情報の予感、といったところでしょうか。  前巻ラストで泣きながら「ヨロイ」の瓶を飲み込んで巨人化したエレンですが……

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【一会】『いぬやしき 4』……ヒーローの条件は

 地球外生命体がらみと思しき事故に巻き込まれ、ハイパースペックなアンドロイド(サイボーグ?)になってしまった初老の犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)と、男子高校生の獅子神晧(ししがみ・ひろ)。1人は人を救い、1人は人を殺め、いずれ直接対決に至るか…といったSFチックな物語……

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【一会】『少女終末旅行 2』……希望が潰えた時に浮かぶもの

 先日、話題の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(公式サイト)を観てきました(高性能サブウーファーを新規導入した立川シネマシティの「極上爆音上映」は確かにすごかったです)。過激に恰好いい世界観と、人間の誇りを謳うストーリーがとても面白かったのですが、あの映画が描く遠未……

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