漫画のレビュー&随想 | 100夜100漫

――夜毎、お話ししましょう。貴方が私を縊(くび)らぬ限りは。

*

「 一画一会 」 一覧

【一会】『せっかち伯爵と時間どろぼう 3』……他人の悪夢が残すのは

せっかち伯爵と時間どろぼう(3) (講談社コミックス)

 刊行からちょっと遅れましたが、書いておきます。
 「“海賊王”に!!!! ならないからっ!!!」と帯にも大書されている『ワンピース』を皮切りに、○ィズニーに北朝○に放射能と、相変わらず“怖いものなど何もない”系風刺ネタ(下ネタ含む)が続いています。今巻で目についたネタを、ネタバレにならないようにメモしておきましょう。

 冒頭を飾るのが件の『ワンピース』ネタ。一部『パイレーツ・オブ・カリビアン』も交えつつ、『行け!!南国アイスホッケー部』的な下ネタを中心に続きます。よく出てくるなと感心しきり。
 下ネタはもはや全編に散りばめられていますが、「注文の多い温泉」っていうか「特殊な浴場」、「デンチヲイレテクダサイ」が秀逸でした。下ネタと勘違いの混合が、何だかむしろ小じゃれた感じに思えるから不思議です。これは落語の艶笑ものに近い感覚かなーと思ったり。
 そしていわゆる権力への反骨めいたネタも今回多めな気がします。『蟹工船』からの共○党ネタに某“夢と魔法の国”ネタ、オンカロなどの放射能ネタといった作者の作品ではある意味定番を仕込みつつ、テレビ業界や時事的な不正疑惑にも目配りしています。「今年の前半は特にそういうニュースが多かった」とはネットのそこここで見聞きする話ですが、そこで名前が挙がるあの元歌手グループの一員やあの作曲家(?)やあの研究者も、見事にネタにされています。具体的に挙げれば、例えば地下闘技場に高価な熊手を携えた剣党首が参戦したりという感じです。
 それと、風刺でも何でもないのですが。「なんというお労(いたわ)しい頭の短いお姿!」が何故だか印象に残りました。ちょっと古風な物言いでボケているところが新鮮なのでしょうか。

(さらに…)

広告

広告
thumbnail

【一会】『白暮のクロニクル 3』……死せぬ者の祈りにも似た、土地への思い

 前巻からやはり3か月で刊行となった『白暮のクロニクル』第3巻。今巻は、日付の入ったやや唐突な導入から。その夜、岐阜県矢尻沢(やじりさわ)集落で、ある終結を見た事件の発端へと、話は遡ります。  全国で“オキナガ”の失踪(というか転出届を出さない引越し?)が続出し、主人公……

thumbnail

【一会】『ギガントマキア』……全存在を巻き込んだリングのただ中で、咆える

 『ベルセルク』があまりにも有名な、というか、それ以外の作品はこのところ手がけておられなかった三浦健太郎氏ですが、数えてみれば今作が実に24年ぶりとのこと。武論尊氏の原作で書いた『ジャパン』以来ということになるんでしょうか。24年という年月を思えば、そりゃ自分(1……

thumbnail

【一会】『少女ファイト 11』……誰だって古傷が堪えていないわけじゃない

 今回も新たに言及する漫画です。100夜100漫の方でも『BAMBOO BLADE』(第182夜)を語ってますし、“女子高生部活モノ(体育系)”がマイブームなのかもしれません。  さて、この漫画、概要としては、姉(既に故人)への複雑な感情を紛らわすためにバレーを続け……

thumbnail

【一会】『Pumpkin Scissors 18』……絶望に瀕しながらも動く人間と、死人を造る死人

 ここでは初めて言及する『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』。まずは軽く概要を。  長らく戦争を続けていた“帝国”と“共和国”。「薄氷の条約」とも呼ばれる停戦条約が結ばれ、いちおうの戦争終結を見てから3年が経過し、帝国領内はそこそこ復興してき……

thumbnail

【一会】『七つの大罪 9』……“英雄の戦い”の幕開けか?

 予想通り2か月で1巻ペースで刊行の『七つの大罪』。今巻は全編戦いのさなかです。  囚われたエリザベスと、欠けた剣の柄に隠されていた祭器「常闇の棺」を取り戻すために王都に潜入(というか突撃)したメリオダス、バン、ゴウセル。時を同じくしてキャメロットの新王アーサー・ペ……

thumbnail

【一会】『いぬやしき 1』……最終兵器っぽくなった初老の男性の行く先は?

 気が付けば『GANTZ』の終了からはや1年近くが過ぎた先月下旬に、奥浩哉先生の新作である本巻が刊行となりました。  事前情報ではお爺さんが主人公ということだけが明かされていたので、前作から一転して日常を描いたものになるのかなー、と何となく思っておりましたが、冒頭こそそ……

thumbnail

【一会】『Spotted Flower 1』……ヘタレヲタ夫とカタギ強気妻の「そんな未来」

 刊行からだいぶ経って(1か月ちょっと?)しまいましたが、自分的にはつい先日やっと読んだのでここに書きます。  木尾士目先生と云えば、やはり『げんしけん』(100夜100漫第3夜)が有名ですが、その後の『ぢごぷり』での、育児についてかなり鬱々とした描写も印象深いです。『……

thumbnail

【一会】『月光条例 29(完)』……そして、物語は円環する

 「ヒジョーにメイワクな話をしよう」から始まった、おとぎ話(というか全ての物語)を巻き込んだ、ある意味で傲岸不遜、ある意味では史上最後の物語も、遂に語り終えられる時が来ました。最終巻だけに、頭の中を整理してから書きたいことも色々ありますが、あまり時間をおくのも何なので、ひ……

thumbnail

【一会】『おるたな 宇河弘樹短編集Ⅱ』……三味線と、硝子の靴と、ピー○君

 作者の代表作『朝霧の巫女』(100夜100漫第56夜)の外伝(というか自己パロディ?)が収録されている、というのが恐らく一番の話題であろう短編集が発売されました。「~短編集Ⅱ」とされているのは、2000年に出た『妖の寄る家』が短編集Ⅰに当たるためでしょう。  ……

広告

広告