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【一会】『魔法陣グルグル2 6』……恋模様と引きこもり女神様と“龍”の波紋

      2018/07/20

魔法陣グルグル2(6) (ガンガンコミックスONLINE)

 ファンタジーだけど“たわし”や“さすまた”が登場し、メルヘンだけど“おっさん”の登場&活躍率が異様に高い、RPG的冒険漫画の続編『魔法陣グルグル2』。先月下旬に6巻の発刊となりました。読んで思ったことを書き留めたいと思います。

 前巻で「勇者様」ことニケが魔王にさらわれてしまい、グルグル使いのククリ、プラトー教のルナー(巫女)ジュジュ、魔法使いの弟子デキルコという女子パーティー(「一行」の意)が結成されました(キタキタ親父もいるけど)。ニケの居場所を把握するため、何でも知っている“知ってる姫”がいるといわれる魔境アッタノカを目指す途中、オーシズの町に魔界の王子レイドが襲撃してきたところから、今巻は始まります。

 「今度の魔王はミグミグ族」という情報から、そのミグミグ族であるククリはオーシズの人々からはあまり良く思われていません。そんな人々のために戦うのは何だか哀しいですが、気持ちの抑圧から解き放たれたククリによってどうにか敵の撃退に成功します。決定打となったのは、グルグルを超えた何か別の力のようにも見えますが、何なのかはまだ不明です。
 戦ってくれたククリに対し、まだ半信半疑な様子のオーシズの民衆ですが、ククリの改めての自己紹介に、多少なりと心動かされた人もいたようで。よく分からないものに対して警戒するのは当たり前の反応ですが、自分が何者なのかを明確化することは、そうした警戒を弱める作用があるということかもしれません。謎の女アーシュの正体が明らかになったり、ククリを追い回していたレイドとデキルコがちょっといい感じになったりと、色々な要素が織り込まれた戦いでもありました。

 さて、一方「知らんおっさんの国」に来てしまった勇者ニケの方はどうでしょう。「国」というよりは、単に“自称勇者”を魔王側が集めた結果のようですが。今どき勇者になりたいのはおっさんばかりというのは、何だか微妙な気持ちになりますね。
 魔王も現れ、キタキタ親父もいるものの、実は絶体絶命のピンチかも。といいつつ、なんだか勇者としての固有能力(?)が発動して、魔王の行動は延び延びになっていきます。その間にククリ達が間に合うと良いのですが。

 デキルコのおかげで、ククリ達はようやくアッタノカに到着します。そこは陸の孤島のような場所で、空を飛べない限り“知ってる姫”がおわす処までは行けそうにありません。
 とあるアイテムで空を飛ぶ力を得たククリですが、“飛べるのは、若く無垢な感動を持ち続ける者だけ”というのが胸に響きました。自分も結構な年月を物語を読んで過ごしていますが、いつまでも“飛べる者”でありたいものです。
 そんなプロセスの末、ついに対面できた知の女神“知ってる姫”。内弁慶な引きこもり症のようですが、基本的には良い人のようです。
 ただ、ニケを助けに行く前に繰り広げられた彼女とククリのエピソードは、またも読者の心を抉ってくるように思います。要約すれば、“多く読むことと、良い物語を紡げるということは、必ずしもイコールではない”ということになるでしょうか。ククリに真実を指摘されて「知ってるよ/知ってる姫ですもの!」と答える彼女の表情は、“知っている”が故の哀しみを感じます。彼女が別れ際に云った「知らない」の真意も気になりますし、自信作を引っ提げての再登場が望まれます。

 ククリの“お願い”が功を奏したのか、どうやらニケの奪還は成功しますが、彼にかけられた“呪い”が、パーティーを掻き乱します。何というのでしょうか、女子が一度はちょっと悪そうな男子に惹かれる的な例の現象なのでしょうか。ニケの行動がパーティー内に波紋を呼び、何となくトライアングルの気配が漂い出したところで今巻はおしまい。次巻に続きます。

 世界の行く末や“呪い”がどうなるかも気になりますが、今は恋模様がもっとも気になる局面。「オマケマンガ」で猫分を補給し、巻末予告には期待感を高まらせ、来年1月発刊と予測される7巻を、楽しみに待ちたいと思います。

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