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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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【一会】『少女ファイト 14』……順調な勝ち上がり、不穏な場外戦

少女ファイト(14) (KCデラックス イブニング)

 最強レベルの実力と弱いメンタルを兼ね備えた女子高生バレーボール選手・大石練(おおいし・ねり)と、彼女の所属する黒曜谷高校女子バレー部が、ヒール的役どころを甘んじて引き受けて活躍する様を描く『少女ファイト』。ほぼ13巻時の予告どおり、昨年7月に14巻が刊行されています。大幅に遅れましたが、語りたいと思います。
 今巻の表紙は、通常版は春高優勝世代の黒曜谷チームの一角で、今は延友厚子(のぶとも・あつこ)の継母になっている知花さん。特装版は今巻前半で練たちと試合をしている小岩素(こいわ・もと)です。ちなみに特装版の付録は、カラーイラストの線画24点を収録した「ぬりえブック」(入手できませんでした…)。ついでに、巻ごとに異なる各話サブタイトルのネーミングは、今回は種々の広告の名キャッチコピーから…といった感じでしょうか。

 本編に入りましょう。目下、高校バレーの一大イベントである“春高バレー”こと全日本バレーボール高等学校選手権大会に出場中の黒曜谷高校。前巻で山吹矢を下して1回戦を勝ち抜き、自分たちの鏡像のような人物たちで構成される福岡の墨日野高校と試合中です。
 黒曜谷が若干リードしてはいますが、名前も何だか練に似ている墨日野のレフト・小岩素がチームプレーに覚醒し、黒曜谷を脅かします。墨日野のお互い遠慮のないコミュニケーションは黒曜谷から見たら異質なものですが、そういうのがハマるチームもあるということですね。
 そんな墨日野の中心である素ですが、彼女が置かれた境遇もまた練と鏡映しのよう。思わず共感した練は、彼女を敵として戦うことを一瞬だけ戸惑いますが、さすがにもう、そこで立ち止まる彼女でもありません。例え負けたとしてもそれが相手の利益になるわけではありませんし、ここはただ、全力でぶつかるのが礼儀というものでしょう。真剣なプレーは観ている者の真剣さも呼び起こすということを、試合が決した瞬間の素の表情が物語っているように思いました。

(さらに…)

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