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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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【一会】『プリンセスメゾン 3』……ロマンティック重要事項説明

プリンセスメゾン(3) (ビッグコミックス)

 居酒屋「じんちゃん」で働く、年収250万円ちょっとの沼越幸(ぬまごえ・さち)の“運命の物件”探しをメインストーリーに、女性たちの“住まいと孤独”を描く池辺葵氏『プリンセスメゾン』。昨年の話になってしまいましたが、10月末に3巻が刊行されました。遅きに失するのもいいところですが、概要と感想など書き留めます。

 今巻の始まりは、新たな年を迎えた雪降る東京から。それぞれの年始の様子が描かれます。幸の関心事は、やはりお金とまだ見ぬ自分の住まい。以前(2巻の時でしょうか?)要さんに教えてもらったように、自分の理想の間取りを紙に書きます。
 この理想の間取りを書くというのは自分の母も好きで、よくやっていました。自分もやってみたことがあるのですが、意外と楽しいです。ただ、あまりに過大な理想を描き出してしまうと、実現する可能性の低さを感じて寂しいことになったりしますので、その点は注意ですが。
 ともあれ、描かれた間取りは、幸の物件探しをサポートする持井不動産の営業部員・伊達さんに渡され、周囲のスタッフ達の気持ちも新たなものに。今年こそ幸の住まい探しもゴールイン、といきたいところです。
 ところで今巻では、常にクールな眼鏡男子・伊達さんのプライベートが数ページにわたって描かれており、興味深いです。既に1巻でも少しだけ描かれていますが、きちんと生活を整備し、日常に小さな喜びを見いだして過ごす彼の暮らしは、確かに自己完結していて結婚から遠ざかっている気もしますけれど、何だかとても心地よさそうです。「ひとりで充実してるのはだめなんでしょうか。」と、彼はテレビに向かって呟いたりしていますが、これは登場する多くの人の心情を代弁する言葉なのでしょう。

(さらに…)

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