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漫画の感想やレビュー、随想などをつづる夜

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【一会】『ベルセルク 38』……“白”と“光”は、似ているようで違う

ベルセルク 38 (ヤングアニマルコミックス)

 現在連載中の漫画では、最高峰のダークファンタジーに数えられる三浦健太郎氏『ベルセルク』の3年ぶりとなる新刊38巻が、先月発刊されました。いくぶん中途半端ではありますが、今巻から言及したいと思います。
 長大にして未だ道半ばの物語を要約するのは困難ですが、黒い剣士ガッツと、白銀の騎士グリフィスという正反対な2人の男の関係を中心に置き、ある理由からグリフィスと、ゴッドハンドや使徒と呼ばれる“人ならぬ者”どもに復讐を誓ったガッツの、血みどろの旅路を描いた物語というのが、現状における自分なりのまとめと云えそうです。
 当初こそ独りで旅をしていたガッツですが、ひょうきん者の妖精パックを道連れにし、傭兵集団“鷹の団”時代のガッツの戦友/恋人ながら今は心を閉ざしてしまったキャスカと同行するようになったのを皮切りに、次第に他者に心を許すように。もとはガッツを異端と見做して対立したファルネーゼや、その従者セルピコ、ガッツの強さに憧れる少年イシドロ、魔女見習いの少女シールケといった仲間も増え、キャスカが安全に過ごせるというパックの故郷、エルフヘルムを目指す旅を続けています。
 片やグリフィスは、かつて率いそして壊滅させた“鷹の団”を新生させ、東方のクシャーン帝国により滅亡に瀕したミッドランド王国を救うと、まるで理想郷のようなファルコニアなる大都市を現出させるまでになりました。前振りが長くなりましたが、今巻は、このファルコニアを訪れた、元“鷹の団”団員リッケルトのエピソードがメインとなっています。

(さらに…)

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